部屋
いつからこんなに無口になっただろうか。
朝起きて、歯を磨いて、顔を洗い。
朝食を食べて、コーヒーを飲んで、煙草を吸う。
時計をみて、服を着替えて、寝癖を整える。
部屋を出て、靴を履いて、鍵を掛ける。
いつからこんなに無口になっただろうか。
鍵を開けて、靴を脱いで、部屋に入る。
服を脱いで、テレビをつけて、家事をこなす。
羽を伸ばし、飯を食い、煙草を吸う。
風呂にはいり、歯を磨いて、そして寝る。
いつからこんなに無口になっただろうか。
自分以外の生活音が聞こえない部屋。
暗闇のなか、主の帰りを待っているだけの部屋。
おはよう。おやすみ。
ただいま。おかえり。
そんな言葉がささやかな幸福だと思う。
いつからこんなに寂しがり屋になっただろうか。




