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第6話 今度こそ遊びたい

 一騒動が終わり今度こそフェンリルと遊ぼうと森の広場まできた。


「たっくよ。骨折り損だぜ」

「あそぼ。あそぼ」

「ああ。そうだな。……ならよ。下りてくれないか」

「大丈夫。遊べる」

「え?」

「ほい」

「う!」


 チェコはフェンリルの背中に乗りながらボールを投げた。


 どうやら魔力で構築されたボールのようだ。


 ボールの回収がめんどくさいので消したり出現させたりしている。


「おー。よしよし。いいこ。いいこ」


 チェコはフェンリルに抱き付くようにしながら両手で撫で撫でしていた。


「ぐは。俺は……所詮……犬風情なのか」


 フェンリルはようやく自分自身が犬だと言うことを認識し始めた。


 ボールを追いかけて銜えている様はもう犬だろう。


 フェンリルは思わず銜えているボールを落とした。


「もう一回」

「う!」


 フェンリルは本能に逆らえないようだった。


 ボールを銜えている様は落胆する一方だった。


 するとまた銜えていたボールが消えた。


「ああ。もうやめてくれよう。俺の威厳がなくなる」


 フェンリルは完全に萎れてしまった。


 テンションがだだ下がりだった。


「嫌。遊びたい」

「ならよ。別の遊びにしないか」

「別の遊び?」

「そうだな。例えば……かくれんぼするとかだな」

「面白そう」


 チェコは両目を輝かせた。


 今までチェコは人と遊んだことがなかった。


 だけど憧れはなく。


 むしろフェンリルを本で見てからモフモフと遊びたいと思っていた。


 だから家に篭って猛勉強した。


「んじゃ下りてくれ」

「え?」

「え?」

「下りるの嫌」

「じゃねぇよ。下りなきゃ遊びにならないだろう」

「う。モフモフの意地悪」


 チェコは今にも泣きそうだ。


「だぁ! 分かったよ! んじゃ俺が一人かくれんぼをしてやるからよ」

「え?」

「え?」

「一人?」

「そうだよ! なんか悪いか」

「楽しい? それ」

「だぁは! お前の言うとおりで絶対に楽しくないよ。一人かくれんぼなんて」

「チェコ」


 チェコは無表情で言った。


「あん?」

「楽しい」

「なにがだよ」

「こうやって喋ってることが」

「お前。意外と可愛いところあるじゃねぇか」

「モフモフ」

「あん?」

「初めての友達」

「な、なんだよ。それ。急に言われたら照れるじゃねぇか」

「大好き。モフモフ」

「それ。俺が好きなのか。毛並みが好きなのか。どっちなんだよ」

「モフモフはモフモフ。選べないくらいに好き」

「だは! 答えになってねぇよ」

「眠い」

「今日は疲れたもんな。まぁゆっくり休んどきな」

「うん。有難う」

「あーなんだか。俺まで疲れたぜ。あーどっかにいい女でもいないかな~。なんてな。なぁ。チェコ」


 フェンリルはチェコに呼び掛けるがチェコはすでに夢の中だ。


「たっくよ。スヤスヤと寝やがって。そんなに気持ちいいのか。俺の毛並みは。全く。仕方のない奴だ」


 フェンリルはチェコのことを理解し始めた。しかし。


「ふはぁ~。んじゃ俺もどっかで寝るとするか。……って俺! こいつのせいで寝転べねぇじゃねぇか! ああ! チェコなんて大! 嫌いだ!」


 こうしてチェコは好きなモフモフの背中で一眠りをした。


 一方のフェンリルはなんだかんだでチェコが起きるまで待っていてくれるようだった。


 果たしてこんなでこぼこコンビになにがやってくるのだろうか。

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