第39話 村人達との交流
チェコとフェンリルがひたすらに修行をしているとだれかがきた。それに逸早く気付いたのはチェコだった。するとチェコの独り言が聞こえてきた。
「うにゅ。村の人達」
チェコの独り言に反応したのがフェンリルだった。フェンリルは聞き耳を立てていたので素直に聞き取れたようだった。だからフェンリルは喋る。
「村人か。もしかして俺達と似たような連中か」
フェンリルはだとしたら凄く頼りになるんじゃないのかと期待した。フェンリルの期待通りならよかった。村人達は普通に会話が出来る距離まできた。
「君達が例のコンビか。噂には聴いてるよ」
村人達の中で真ん中の人が言った。どうやら村人達の真ん中はリーダーのようだ。村人達は三十二人を率いてきた。しかしどう考えても少ない方だった。
「おう! 俺の名はフェンリル! 泣く子も黙る狼だ!」
フェンリルは本当なら同士だと思い握手を求めたくなるくらいだった。だけど狼なので握手が出来ないと悟り自己紹介だけに留めた。
「うにゃ。モフモフはモフモフ」
チェコはすぐさまに否定した。チェコの今は余裕があった。もう既に風を制した気分だった。しかし実戦経験はない。この気持ちで勝てるのか。
「はは。噂通りだ。おっと忘れていた。これは伝言だ。セルジュ様もじきに広場に行くと言っていた。きっと協力してくれるだろう」
村人達の中で真ん中の人が言った。その表情には余裕がありどうやらセルジュを信用しているようだ。一昔なら考えられなかっただろうけど。
「セルジュがくるのか。なら頼もしい。あいつの空間移動魔法は役に立つからな」
フェンリルはにやけていた。もうそれくらいにセルジュに期待していた。確かにセルジュの空間移動魔法はかなり便利だ。狭い場所から広い場所へと移動が出来る。
「うにゅ。チェコ。出来る……かも」
チェコが無理を張って言い始めた。実はそんな発想は一度もなかった。本当にセルジュは欲望のままに成し遂げたのだから凄い執念だった。
「おいおい。あんまり無理は言うもんじゃねぇ。変なところに飛ばされでもしたらやばすぎるだろうが」
フェンリルの言うとおりだ。いくらチェコが独学でここまで登り詰めたとしても危険がないとは言いがたかった。無論。セルジュを絶対に信用するのもなしだが。
「うにゃ。成功させる」
チェコは本気だった。このままだとしてしまいそうだ。だれかが止めないと暴走する可能性があった。チェコはド天然だ。失敗するとは思わなかった。
「やめろぉお! 怖いだろうが!」
フェンリルも本気だ。本気で怖がっていた。もし出来ても帰れなかったらどうしようと考えた。フェンリルは今にも身震いを起こしそうだった。
「うにゅ。残念」
チェコの心の底に傷が付いた。そもそもチェコは明らかにセルジュに嫉妬していた。だからこその物言いになっていたのだろう。だがフェンリルのお陰で止めれた。
「残念もなにも……ないと思うがな。にしても村人がこんなに集まれば出来ることも増えるな。なぁ? チェコ?」
フェンリルはチェコを軽くあしらうと今度は人数が増えたことで出来ることが増えると思った。そんな状況になった今は増えた修行方法をしなければ勿体ない。
「うにゅう? そうなのか」
チェコはド天然なのでそんなところまで考えが追いついていなかった。でも言われてみればその方がよいと判断した。
「それじゃあ団体戦でもやるかい」
村人達の中で真ん中の人が言った。どうやら周りの村人もやる気のようで活気に満ちていた。
「ああ。そうしてくれ」
フェンリルは頷くとそう言った。これによって少なからず団体戦が出来るようになった。と言ってもセルジュがこないと全員での団体戦は無理だった。




