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第37話 森の広場で修行中

 チェコとフェンリルは森の広場に辿り着いた。ここで修行をするようだ。


 フェンリルはチェコを背中に乗せたまま森の広場の内側に入り込んだ。


「でよ? ここにきたのはいいけどよ。なんの修行をするんだ? チェコ?」


 フェンリルは実に不安そうに言っていた。そもそも修行して勝てる相手なのかもキナ臭い。


「風。慣れる」


 チェコは苦手な風を克服しようとした。確かに克服したら赤い鳥の羽ばたきに耐えれるかも知れない。


 それにチェコの敗因はどう見ても赤い鳥の羽ばたきによる風にあった。正直に言えばもう二度と遭いたくない。


「なるほどな。だったら……今から俺が全力で走るぜ。それでいいな? チェコ?」


 フェンリルは人間並みの知恵を働かせた。ここで全力で走れば苦手な風に耐えて動けるようになるかも知れなかった。


「うにゅ。任せた」


 チェコはやる気が満々だった。チェコは風に耐えながら無詠唱魔法を行うつもりのようだ。果たして巧くいくのか。


「んじゃいくぞ! チェコ!」


 フェンリルはそう言ったが最後はチェコの返事を待った。それまでは走るつもりも歩くつもりもなかった。


「任せろ」


 チェコは返事をした。するとフェンリルが歩き始めた。ちょっとずつだが速度を出し始めた。今は小走りになった。


「うう。寒い」


 チェコにとって風は本当に天敵のようだ。フェンリルがまだ全力で走っていないのにチェコは嫌がった。


「我慢だ! 我慢しろ! チェコ!」


 フェンリルはそう言うがチェコは耐えられなかった。両手を交差させて両肘に当てると身震いを起こした。


「駄目だ! 駄目だ! ここは全速力でいくそ!」


 フェンリルは鬼畜だった。でもこうでもしない限りチェコは風に打ち勝てない。フェンリルは心の鬼にし全速力を出した。


「うにゅー」


 チェコはフェンリルの全速力に負けて今にも吹き飛ばされそうだった。チェコは風が嫌いを通り越して大嫌いになりそうだった。


「さぁ? どうした? チェコ? 魔法は使わないのか!」


 フェンリルは走りながら言い続けた。そんなことを言われたチェコは風に負けて喋れなかった。しかし無詠唱は出来る筈だった。


「チェコ……頑張る」


 なんとかチェコはフェンリルの上で踏ん張りを利かせて耐え凌いだ。踏ん張ったチェコは一回目の無詠唱魔法を実行に移そうとした。


 チェコはフェンリルの全速力に負けじと抗戦し見事に無詠唱魔法を発動させた。チェコの人差し指から眩い光が溢れ出た。光魔法だ。


「この光は……あの時の?」


 フェンリルは急に明るくなったと思った。しかもフェンリルはデビルゾア戦の時を思い出していた。なにはともあれチェコは風に一勝目をあげた。


「チェコ……やった」


 チェコは口調には余り出さないが心の奥底では喜びが溢れ返っていた。なんせあれだけ苦手だった風を克服し無詠唱魔法まで発動させたのだから。


「おお! やったな! チェコ!」


 フェンリルは歓喜した。本当はもっと喜び続けたかったが今はそうも言ってられない。こうしている間にも謎の男は仲間を引き入れて村を襲う計画を企てているだろう。


「うん。もっと……修行する」


 チェコはもっともっと修行しなければいけないと思った。その為にフェンリルが疲れるまで走り続けてくれた。すると今度は無詠唱音魔法を発動した。高周波を発生させる魔法技だ。


 こうしてチェコの風との対抗戦は何度も続きチェコはどんどん風に慣れていった。最後には余裕の笑顔を見せれる程になっていた。もう十分に慣れたチェコは修行をやめて次をすることにしたのだった。

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