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第25話 昼下がりのゆったり散歩

 すっかり朝から昼になった。


 フェンリルとチェコは相変わらずシルヴィアの親切にあやかっていた。


 早速フェンリルはセルジュから貰った超高級犬用ご飯をお皿に入れられ目の前に出されていた。


 この時のフェンリルは美味い美味いと連呼しながら食べていた。


 ちなみに図体がでかい為に三食にした方がいいらしかった。


 一方のチェコもフェンリルに負けまいとシルヴィアのお手製料理を頬張っていた。


 とても美味しそうだ。


 そしてフェンリルとチェコは昼御飯を食べ終わった。


 あとは昼下がりの散歩をするだけだった。食後の運動は大事だろう。


「うう。寒い」

「今日は風が強いな。……って! 下りて歩かなきゃ運動にならねぇだろうが!」

「モフモフ。頑張れ」

「たっくよ。他人事みたいに言いやがってよう。かぁー! やってらんねぇぜ」

「風。嫌い。モフモフ。好き」

「なんて極端な野郎だ! 風を愛せば必然と走りたくもなるだろうに!」

「なら走れ」

「だはぁー! もう散々走ったっての! 昼下がりくらいは歩かせろよな?」

「うにゅ。任せた」


 チェコは面倒くさいことが嫌いだ。だからここはフェンリルに任せた。


「それにしても昼なのにだれもいないんだな。家に篭ってるのか」

「うにゃ。過疎地」

「過疎地っておいおい大丈夫なのか。この村は」

「うにゃ。もう無理」

「かはぁー! それってじきになくなるってことじゃないのかぁー!」

「うにゅ。そうなる」

「それは悲しいな。今からでもどうにかならねぇのか」

「無理。悲しい」

「諦めんじゃねぇよ!」

「なら働け。忠犬モフ公として」

「あん? なんだ? それは?」

「なんでもない」

「おい! ごまかすな! 忠犬モフ公ってなんだ!」

「ふぅ~。眠い。寝る」

「っておい! 待て! 待てって言ってんだろ! なぁ? チェコ!」


 フェンリルが問い掛けた時には遅かった。


 もう既にチェコはフェンリルの背中に抱きつき寝ていた。


「あー! 寝てやがる! くっそぉ~! ……仕方がない。ここは歩いて散歩でもするか」


 フェンリルはどうせだれもいないしと思い歩いて散歩をするつもりだった。



 歩きながらの散歩はあれから十分以上は経った。そろそろ体がポカポカしている筈だ。


「ふぅ~。大分歩いたな。よし。そろそろ帰るとするか。……うん? あれは?」


 フェンリルの目の前になにやら挙動不審なお婆ちゃんがいた。なにかを探しているのだろうか。


 ここでフェンリルの親切魂に火が点いた。ここで株を上げておけば後で助かるだろうと思っていた。


 だからフェンリルは背を向けているお婆ちゃんに近寄り放し掛けようとした。


「なぁ! そこのあんた! 一体なにを探しているんだ?」

「え?」


 お婆ちゃんは急に話し掛けられてやや困惑していた。そしてフェンリルの方を向いた。その瞬間。


「ひゃぁ!? 犬っころが喋った!? しかもなんてでかいんだい!?」

「な、なにぃ!? 俺は犬じゃねぇ! 俺は」

「ひぃい!? 化け物じゃぁ~!」


 目の前のフェンリルにどん引きしたお婆ちゃんは腰こそ抜かさなかったが慌てて振り向いて走って行ってしまった。


「な!? 待てよ! 俺は……犬じゃねぇのによう」


 フェンリルは親切に話し掛けた。なのにこの仕打ちだ。フェンリルのテンションが一気に下がった。


「たっくよ。この村には俺を知る人物が少なすぎるだろう。あー! もういいや! 今日はもう家路につくとするか! そうしよう!」


 こうしてフェンリルは振り返りチェコの家に戻っていったのだった。なんともフェンリルは不愉快になりながらも家路に付いた。

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