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第17話 セルジュのお土産

 チェコが食事を終えて今はフェンリルの背中に乗りながら帰宅していた。


「かぁー! 食った! 食った! 後はチェコの家に帰るだけだな!」

「うにゅ。お土産も貰った。セルジュ。いい人」

「食べ物をくれたのか。もうお腹が一杯なのにな」

「うにゃ。それが違うらしい」

「うん? んじゃなにをくれたんだ?」

「シャンプー」

「うん? なんだ? それ?」

「これで洗う」

「うん? なにを洗うんだ?」

「汚いモフモフを」

「な! 俺は汚く……いや。汚いか。今日は」

「うん。ごめん」


 チェコは色々と反省していた。だから素直に謝った。


「かぁー! 今日は綺麗さっぱりしたいぜ! 美人なおねぇちゃんとよう」

「そんなこと言う?」

「言うぜ。男の願望は」

「でも……そんなモフモフも好き」


 そう言い終わるとチェコはフェンリルの背中に抱き付いた。


「そうか」

「う。眠い」

「そうだな。今日は色々とあったもんな。眠いよな。……って寝るなよ! 俺達が路頭に迷うことになるぞ! 野宿は嫌だからな!」

「チェコも嫌」


 と言いつつも眠たそうにしている。いつでも寝れそうな感じだ。


「おーい。寝るなって言ってんだよ~。聞こえてますか~。って寝てやがる!?」


 フェンリルは仕方がないのでチェコを起こさずにきた順を遡って帰ることにした。


 フェンリルも疲れていたが鞭を打った。


 フェンリルは眠っているチェコを背中に乗せようやくチェコの家に辿り着いた。


 ここまで道案内をしてくれたのはシルヴィアだった。


「ふぅ~。ようやく着いたぜ。さてと中に入るか」


 フェンリルはそう言い終わるとドアノブを銜えて開け始めた。


 その後にドアが開く音がした。


「たっくよ。無用心にも程があるだろうよ。鍵は掛けろよな」


 フェンリルは愚痴を言った。そう言いながら中に入ると後ろ足でドアを閉めた。ちょっとだけ閉まる音がした。


「えーと……大接間はどこだ?」


 あるかどうかも分からないがとりあえず手当たり次第だ。フェンリルはチェコを起こさなかった。今日は本当に疲れたろうから。


「大体この辺か」


 フェンリルはなんと一発目で大接間を見つけた。ドアノブを銜えて中の様子を見た。


「お? ここが大接間か。なんだか。それっぽいぞ」


 フェンリルはチェコに訊いてないのでここが本当に大接間かどうかが分からないでいた。だけど大接間っぽかった。


「とりあえず中に入って伏せて寝るとするか。ほんのちょっとだが」


 フェンリルはそう言い終わると大接間の部屋に入った。そしてドアを後ろ足で閉じた。


 フェンリルはチェコがぐっすり寝ていると思うと自分も眠たくなってきた。だから部屋の片隅で伏せて寝ようとした。


「うが。お風呂」


 急にチェコが起きた。チェコはぐっすり寝ていたが夢の中でモフモフを洗っていたようだ。


「おい! 寝ようとしてたのに起きるなよ!」

「モフモフ。臭い」

「だれのせいだよ!」

「モフモフ。いこ」

「うん? どこに?」

「風呂場」

「風呂場ってなんだ?」

「体。洗うところ」

「なるほどな。確かに今の俺は不潔だろうな。いいだろう。その風呂場とやらにいってやろう」

「うにゅ。案内する」

「ああ。俺がそこまで連れていってやろう」

「んじゃこっち」


 こうしてフェンリルの背中に乗ることが普通になってきた一人と違和感がなくなってきた一匹はお風呂場に向かうのだった。

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