夏の掛け合い
あーサブタイトルには特に意味は無いです
俺が眠っていると、腹の上になにかが乗ってるような感覚があった。
もしや…幽霊?
「うふふふふ。おはよう。弟。夜這いに来たわよ」
ある意味幽霊より怖いやつだった。
「ああ、うん。それは大歓迎なんだがもう朝だぜ?」
「あれ?てっきり嫌がるものかと思っていたんだけれど」
「女子に夜這いに来たって言われて嫌がるやつなんて認めん。ていうか人形みたいな大きさなのに夜這いもなにもないじゃろ」
さぁ、そこの君。
想像してみよう。リカちゃん人形が夜這いに来たって言って腹の上に乗っていたらどう思う?
エロくないだろ?
…ごめん。むしろ恐怖だわ。
「あ、言いそびれていたわ。メール来てたみたいよ」
「ありがとう」
メールの差出人は、俺のもう一人の友達の正雄からだった。
内容は10時ぐらいに俺の家に行くからエロ本を3個ぐらいチョイスしといてくれというものだった。
あいつの事だ。昼飯もここで食べるとか言い出すんだろう。
言いそびれていたが、俺は一人暮らしだから友達と一緒に家で騒いだりしても親に怒鳴られない。
一人暮らしの利点ってやっぱこれだよなぁ。
と、思いながら時計に目をやると…
「9時59分だと!?」
「お出かけかしら?」
「いや、違う!正雄が来るんだ!お前あの本の中に戻ってろ!」
不幸というものは次から次へと重なると聞く。
この話が本当ならば今がまさにそれだった。
「…おはようございます。朝から騒がしいですね」
「いやいや剣華ちゃん出てこなくていいから!戻ってて!」
「そう言われると戻りたくなくなるから不思議ですね」
「今はそんな言い合いしてる場合じゃねぇよ!この世界の俺以外のやつにばれてもいいのか?」
「ええ、まぁ特に問題はありませんね」
すんごいラフな仕様だった。
「てかお前らがばれたら俺が正雄に呪われるからマジで戻っててくれ!頼む!」
「……何か見られたくないものでもあるからではないのですか?」
やめてぇーそんなジト目で見ないでぇー!
あながち間違いでもないから怖い。
確かにエロ本みられたらまた蹴られそうだしな。
「んん、それもなきにしもあらずだがあいつロリコンなんだ!襲われても知らんぞ」
「…類は友を呼ぶとはこの事ですね」
「おぉれはぁーーー‼ロリコンではなぁぁぁいぃぃぃぃぃ!!」
ちょっと違う。
むしろ俺ぐらいになるとロリコンではなくロリコン紳士なんてあだ名がつくレベル。
うん。悲しい。
「弟、誰かがドアをがんがん鳴らしているわ。お友達ではなくって?」
「マジか!?とにかく戻れ!」
その後たっぷり5分ぐらいの時間をかけてやっと本の中に戻ってくれた。
ちなみに、その間外で待っていた正雄は暑さで溶け掛けのアイスバーみたいになっていた。
夏って恐ろしいな。