変な妖精が出てきたんだが?
「本…光ってる…絶対めんどくせぇやつじゃん…」
そう。
家に帰ると突然あの本が光りだしたのだ。
こういうのって大抵めんどくさいパターン多いよね。誰か、共感して。
「…初めまして」
「誰!?」
一人で適当に考えていると赤い魔法陣的なのから一人の少女が飛び出してきた。
髪は赤色でポニーテール
背は
「ちっせぇ!?」
「うるさいです殺しますよ」
背は、例えるなら立てたラノベ一冊分くらいかな。ほら、勇人も妖精って言ってたし妖精がでかいってイメージないじゃん?
分かりにくいって?部屋にラノベしかねぇんだよ!
「お名前教えてくれるかな?おチビちゃん」
「フンッ!」
「いてっ!」
すねを蹴られた。あろうことかすねを。
背気にしてるのかなぁ
「名前は剣華です。一応、あなたの護衛の為にと出てきました。お話は聞いています。この世界でも奴らは追ってきます」
うん。赤い目と赤い髪で目力たっぷりに言われると迫力がすごい。
「ですが…あなたを守る必要も無さそうですね。では」
そう言うと本の中に引っ込んでいった。
「って待て待て待て待て!」
「…なにか?」
超不満ですとでも言いたげな凛々しいお顔で睨んできた。こえぇ…
「え、と、その、ですね、奴らって?」
はぁ、とため息をつきながら向こうの世界とやらの事について教えてくれた。
ちなみに、剣華ちゃんの話は分かりやすかった。今度数学でも教えてもらおう。
まとめると、
モンスターっていう動物の亜種的なものが向こうの世界に存在する。
そのモンスターとやらのリーダーのまたリーダーがいて、そいつらが人間を滅ぼすために最強の生物兵器であるこの剣華ちゃんズが眠っている本を奪おうとしている。
あの勇者…勇人がこの本を持っていたらバレるし取られるかもしれないから、安全なこの世界の俺に預けた。
実は全然安全じゃなかった。
的な。
出た出た勇人の天然炸裂ぅ!
マ・ジ・ふ・ざ・け・ん・な・ハート。
「以上の事柄を踏まえて民間人であるあなたを守ろうとした訳ですが…」
やめて急にギトギトした目でみないでぇ!
「では」
「すいませんホント待ってください助けて!」
「いえ、私以外にもいますから…」
そこで剣華ちゃんの言葉が止まった。
なぜなら俺の神聖なるベッドで他の子がお絵かきしていたからだ。
「ふんふふーん。あら、エクスカリバーの描写に手を抜きすぎたかしら」
「剣華ちゃん。あれ誰?」
「あなたに有益な情報を与える事は非常に不本意ですが…あの子には関わらない方が吉です」
「いや、それを決めるのは俺だ。一回話してみる」
「そうですか…忠告しましたよ」
すると今度は本当に本の中に引っ込んでいってしまった。
俺のベッドで絵を描いている少女は、長い黒髪をだらーっと顔の全面に張りつけて顔が見えない。
例えるならマジ貞子。
「あの、俺のベッドの上で絵を描くのやめてくれるかな?」
「…!?」
「えっ?」
逃げ出す暇も無いほどの速さで俺の視界にこの子の顔面が飛び込んできた。
「弟って呼んでもいいかしら?」
「あ、、、はい」
俺への第一声が弟と呼んでいいか聞く事だとは思わなかった。
「私の名前は喪華よ。よろしくね。弟。あなたのことを気に入ったわ」
喪華…モカ…かわいい…んだろうか?
喪女の喪が名前に入っているが、顔はとんでもなく美形だった。
剣華ちゃんが凛とした美人だとするならば、喪華さんはしっとりした美人だった。
くそっ、語彙力の弊害め…言い表しにくい。着物着たら似合いそうな感じ。
あ、ちなみに背は剣華ちゃんよりも少し大きいくらい。と、言ってもラノベサイズの身長なので大した違いは無いけどな。
「弟。さっき私が描いてた絵。見る?」
「お、おう。見してくれるなら見せてほしいかな」
結果的に見た事を後悔した。
BLのおにショタとかちょっと専門外だわ、俺。
普通にグラビア一筋だわ。
しかも、無駄にめちゃめちゃうまいし。
剣華ちゃんの忠告の意味がやっと分かった。
てかエクスカリバーってそういう意味かよ
「弟。感想を、頂けるかしら?」
「オモシロカタデス」
「うふふふふふ、そう。なら良かったわ。今度あなたを主役にしてあげるわ。受けと攻め。どっちがいいかしら?うふふふふふふふふ」
あ、悪魔や…悪魔が出たぞぉ…
これから波乱万丈な人生になる予感がしました。まる。