天高く号令を叫びましょう
でだ。
結果として、件の探し人は見つかった。
その人物、金髪に煌めく緑の瞳を持ち、すらりとした身長に騎士服を着こなしている。甘く目元が垂れ下がり、髪は天然で緩く巻かれて毛先が遊んでいる。
つまりは甘い顔立ちの美形。
それがスラギである。
騎士団長たちが彼を発見したのは、誰もが安堵したことに城下町の中だった。
まあ、一人じゃなかったけど。
美人なお姉さんから可憐な少女、御婦人方まで彼を取り巻いてそれはそれは優雅に談笑していらっしゃったけど。
殺意?
わかないはずがあるだろうか。
しかもだ。
そんな状態で疲労困憊もいいところな騎士団員に発見されたにもかかわらず、スラギの第一声はこれだ。
「わあ、元気だねえ、何がしたいのか知らないけど頑張れ~」
的確にこちらの殺意を煽ってきた。
ので。
騎士団員がとった行動は一つだった。
「は……」
「『は』?」
「スラギ発見――――――! 捕獲! 捕獲――――――――!」
天に向かって腹の底から絶叫。
すると。
「「「捕獲! 捕獲! 捕獲! 捕獲! 捕獲!」」」
「「「「捕獲! 捕獲! 捕獲! 捕獲! 捕獲!」」」」
「「「「「捕獲! 捕獲! 捕獲! 捕獲! 捕獲!」」」」」
何処からともなく響くは輪唱と地響き。
あらまあ、とおたおたするのは女性陣。道のあちらから此方からわらわらわらわら際限などないかの如くに出てくるのは縹色の騎士団員。
だが、しかし。
その狂気すら感じる光景にも、奴は奴のままだった。
「え~。俺がつれてかれるのかあ~」
能天気な発言に顔だけは困ったように笑う。
もちろん騎士団長は青筋を立てて叫んだ。
「突撃ッ!」
「「「「「うおおおおおおおおおおお!」」」」」
響く雄叫び、舞い上がる砂塵、出来上がるのは騎士団子。
けれどその中心はやっぱり変わらず。
「え~」
血管が五、六本まとめて切れた気がする騎士団長だった。
☆☆☆☆☆
でだ。
一応騎士団の底知れない執念によってとっ捕まったスラギ。
現在は玉座の間に、正面に国王、背後に騎士団長と挟まれてそれでもにこにこと笑っている。
ちなみにここまで、さるぐつわに手錠をはめられ身体の自由すらも奪われて文字通り引き摺って連れてこられた上に玉座の間に放り込まれた。
そんなものだからやっとこさ拘束から解放された彼の姿は少々薄汚れている。
誰も気にしていないけれども。
国王すらも気にしていないけれども。
身だしなみより礼儀より、大切なのはスラギが今この場に居るという事であるの言うのが共通認識であった。
そもそも、礼儀や敬意というものをスラギに求めることが間違いなのだ。
大間違いなのだ。
なぜならば。
「で、用事ってなあに、国王サマ?」
あはっと笑って許しも得ずにいうこれが、スラギの通常運転であるからである。
いちいち咎めていたらきりがない。
というか咎めるということがこの男には通用しない。
だからいろいろと諦めた目の国王は、それでも死んだ目に生気をひねり出して、話し出すのである。