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黒の止まり木に金は羽ばたく  作者: 月圭
人間大陸編
232/254

感情を込めています


 よし、気づかなかったことにしよう。


 いや国王と部下は全力説教コース一択ではあるけれども。ジーノには自由人の単純故に複雑怪奇な思考回路の一端など推測できなかった、そうだそうなんだ。


 だからジーノは爽やかな笑顔でミコトを見る。


「さてミコト。どうケリをつけるんだ?」


 投げた。全力投球である。


 ジーノは かんがえるのが めんどうくさく なった!


 それはともかく。


 自棄七割、本気一割でジーノは聞いていた。残りの二割? 夢と希望です。

 と。


「セルジア皇国に行くが、それがどうした」


 しれっと答えは返ってきました。

 あまりの当然のような軽快さに思わず周囲は。


「「「「えっ(動揺)」」」」

「「「えっ(困惑)」」」

「「「「「えっ(意表を突かれて)」」」」」

「「「えっ(喜色満面)」」」


 おんなじ音がいろんな色で響いたけれどもオイ最後。


「……な、何しに行くんでしょう?」


 恐る恐る、ジーノは聞く。すると黒髪の麗人は目を細めて。


「……あいつらを放っておくと人間大陸が消えるだろうが」


 おっしゃった姿は美しかったです。


「「「「えっ(驚嘆)」」」」

「「「えっ(驚愕)」」」

「「「「「えっ(ギクリと目を逸らす)」」」」」

「「「えっ(心底不満そうに)」」」


 だからオイ最後。


 いや確かに聞こえてくる隣の彼らのお話、そろそろ人間に終了のお知らせかなって内容だったけどね。必死で聞かないようにしていたんだけどね。


 え、ミコトってそっち側じゃなかったの? 絶対に破壊側だと思っていたジーノである。だって被害者だもの。破壊しなくても我関せずだと思ってた。だってミコトさんだもの。


 だのに。


「ええっと。人間の居住地を心配してもらえている、と?」


 控えめに、控えめに。

 聞いてみる。と。


「もったいないだろうが」

「もったいない」

「それに大陸が消えるのは面倒だ」

「面倒」


 思わずオウム返しをするジーノ。そんなやりとりにあがった声は。


「「「「ああ……(疲弊)」」」」

「「「ああ……(遠い目)」」」

「「「「「ああ……(理解)」」」」」

「「「ああ……(心底残念そうに)」」」


 最後。いい加減にしようか。


 いや、無視しよう。


 ええっと、つまり。なるほど。

 察するに、主に資源がもったいなくて、後始末が面倒くさいんだねミコトさん。……おかしいな、乱立する『人間』淘汰の気配。


 聞いてみた。


「大陸がなくなったくらいで死なんだろう」

「俺の予想では九割死ぬかなあ」


 ミコトは人間を過大評価していると思う。それとも基準が自分なのか? そうなのか? 自由人を基準にしてはいけませんと何度言えば。

 ともかく通常人間はミコトが思う以上に脆弱であるということを理解してほしいお願いだから。


 大陸がなくなってどうやって生きるの? 浮くの? 空と海でも支配するの? それとも魔大陸で共存の可能性を見出してるの? そもそも人間って自由人と希少魔族五人組の凶行に晒されて生き残れるほど器用じゃないと思うんだ、ジーノは。


 いや、整理しよう。


 ともかくもったいなくて面倒だから、人間大陸消失はミコトにとって良策ではない。つまり大陸滅亡は行われない。だってミコトが望まないことを自由人及びミコト信者は敢行しない。だから白金赤茶辺りが特に残念そうだった。


 うむ、平和が見える。


「じゃあ、ミコトは何をしにセルジア皇国へ?」

「仕置きだ」



 ……。



「「「「えっ(蒼白)」」」」

「「「えっ(真っ青)」」」

「「「「「えっ(きょとんと)」」」」」

「「「えっ(愛を込めて)」」」




 ……最後!







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