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黒の止まり木に金は羽ばたく  作者: 月圭
ユースウェル王国内編
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確かに便利なのですが


 この世界の魔法の話をしよう。

 根本的な話、この世界には魔法が存在する。

 そして人間にも、魔力を持って生まれてくるものが半数ほどは存在する。まあ、その魔力量はたいていの場合さほど高くはないのだが。


 ともかく、それが魔法を使える人間である。

 ちなみに、魔族とは全員が魔力保有量が高く身体能力と寿命が長い種族の事である。


 でだ。


 魔法の説明を続けよう。

 魔法には属性が存在している。それが、風・火・水・土・雷の五属性だ。


 そしてここからが重要なのだが、たいていの人間は一人一属性しか使用できない。火なら火だけ、風なら風だけである。

 なんだかんだ言いながら騎士団長・ジーノや騎士・イリュートも魔力持ちではあるが、騎士団長は火、イリュートは水の属性が使えるのみである。

 そしてこれは魔力保有量が高い魔族とてほぼ変わらず、ごくごくまれに二属性使用できるものが生まれるか生まれないかというところだ。


 その唯一の例外がこの旅の目的であるところの魔王で、彼は全属性を使用できるという話が実しやかに囁かれている。事実確認をした者はいないのだが。


 ともかく、人間では魔力量も少なく一属性以上の魔法を行使するものなど皆無なのだ。

 あり得ないのだ。

 それが常識なのだ。



 まあその常識を華麗に叩き壊したのがスラギだけど。



 スラギは正真正銘全属性を堂々と使いまくる規格外である。

 もう笑いながら使いまくる。熊を飛ばしたことなど序の口である。その気になれば自分自身がびゅんびゅん飛ぶ。というか今回、魔王への道のりの為の捕獲作戦では比較的あっさりとっ捕まったけど、捕まりたくないときはケラケラ笑いながら空中に浮かんだり、水で目くらましされたり、土壁で足止めされてトンズラされたりしたことだってあるのだ。


 殺意を抱く光景である。


 なぜ笑う。

 何が面白い。

 神よ金髪のサディストに天誅を。


 ともかく。


 そんな規格外としか言いようのないスラギでさえ、使えない魔法がある。

 それが『神聖魔法』である。

 光や闇、重力などがその種類として挙げられるが、未知の部分も多い。

 遥か昔の文献にその存在だけは確認されているものの、その使い手は人間はもちろん魔族の中にも存在しない。


 正に、失われた魔法。

 伝説の存在。



 その伝説の存在がなぜここに。



 おかしい、失われたはずではなかったのだろうか神聖魔法。

 なんでいかにも当たり前の顔をして使ってる人が居るんだろう神聖魔法。

 スラギ曰く、ミコトは重力魔法で包丁を操り眼にもとまらぬ速さで解体を終了させたとか。


 おかしい、世界レベルで大騒ぎになるはずの魔法が便利に活用されている。


「噓よ嘘よあり得ないわ! 証明なさいな!」


 混乱のあまり王女がぶんぶんと髪を振り乱してミコトに叫んだ。

 しかしそれにミコトは眉ひとつ動かさず。

 次の瞬間。



 ぽんっ。



 六人の目の前に白く柔らかな光の玉が浮かんだ。

 火魔法ではなく雷魔法でもない。

 一同ぽかん。

 だがしかしこれは疑いようもなく。



 光魔法であった。



 だのに一言も発さず調理作業続行のあり得ないはずの神聖魔法の使い手ミコト、その横ではやっぱりスラギが笑っている。


「わあ、明るーい」


 だからなんでそんな便利魔法みたいな言い方するんだスラギよ。







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