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作者: ものおもうあたし。

あの日君は雨の中で

僕にそっと呟いた

震える声でかすかだったけど

なぜだかちゃんと届いていて


嫌いな雨を、好きだと言った


雨はきっと醜いこの僕の身を

刺し殺す勢いまではもたないけれど

何もかもを洗い流して、たった一つの僕の心を

そうっとここに残してくれるからと。


嫌いな雨を、好きだと言った


空を見上げて目を閉じる

素直すぎる水音が

僕と君をぬらしてゆく

泣いているのは君か僕か


闇から顕れる

小さな鋭利な一雫を

どうか絶やさぬようにと

僕は祈っていた


どうして雨がやんでしまうと

君は心を隠すんだ

あんまりうまくしまいこむから

いつも君は”独り”なんだろう


心が痛いからって

手を伸ばしたことのなかった僕は

初めてみた、雨の日の

君の消えてしまいそうな笑顔を守りたかった。


こんなに近くにいるのに

離れ離れの君の心が

僕のモノではないそれを

悲しいよって泣いていた


嫌いな雨を、好きだ、と言った


身を切られる思いをして

心を裂いて傷つけて

いつのまにか僕の心が

二つになってくれればいいって


だからごめんね、君を

きっと君を忘れるよ。って


僕が君に惹かれたキモチと

僕が君を憎むキモチと


二つあれば、心はわかれて

僕はもう独りじゃないよね?って


嫌いな雨を、好きだ、と言った


孤独に耐えられなかったんだ…

僕は君の最後の笑顔が

どうしたってそう言ってるようにしか見えなくて


だから僕は

「愛がほしい」って怯える君の心を

必死で探していたんだ



雨が降った

久しぶりの雨だった

君も君の心ももうずっと見つからずにいるけど


僕はいつものように

君と出会い別れたあの日のように

ただ目をつぶって

祈りながら雨に打たれて


足音がした、遠くの方で

目を開ければそこに、あの日のまま

空くうを見上げて笑う君


僕はそっと近づいて

そっとソレを差し出して

雨を遮るソレを見て

君がようやく僕を見て


ちょっと目を見開いて

それでもすぐに笑って

「雨は好き?」って聞く君に

僕も笑って言ってやった

「君が好きだという雨は、きっと大嫌いだよ」って



罪を喜んで身に負おう

けれどどうか心だけは

ここにおいてゆかせて


どうかここで、

心だけは、

そっとあたためさせておいて。


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