1人目っ!
「娯楽部でーす。新しい部活でーす。よろしくでーす。」
校門の前でビラ配り。部員はただ今私1人なのでひとりで配っている。やべぇ、さみしい。いや、ここでめげたら終わる...私のリア充高校生活が...!!
声を張らなければ!
「娯楽部です!よろしくおねがいしまーす!!」
周りは何一つ反応しない。あれ?私って空気?イヤイヤイヤ、結構目立つ見た目だよ?ピンク髪に赤目、声もアニメ声だ。まぁ...好きじゃないしむしろコンプレックスだ。黒髪に憧れる。つやつやな...。
ハッと突然我に返る。いかんいかん、こんなことしている場合ではない。ビラ配りをしなければ...。
「娯楽部でーす!よろしくお願いします!」
「...ムム...?」
「えっ!?」
突然名前を呼ばれ後ろを振り向く。そこには触角だけ伸ばした茶髪のショートヘアで大きく丸い黄色い目をした美人さんがこっちを見ていた。
...あれ?もしかしてこの人って...。
「チョコ!?」
「うん、そうだよ〜。ムムもこの学校だったんだね〜」
神龍千代子、私の愛する従姉妹だ。ほのぼのとゆっくり喋るふわふわした不思議ちゃんだ。
「何してるの?」
そうだ、ビラ配り。
「うんとね、私が創部した部活のビラを配ってるっしょ。部員募集中」
「ふ〜ん」
あまり興味がなさそう。でも、1回コクンと頷いて
「じゃあ私その部入るね」と、言った。
「エッ!?本当!?」
軽い!軽いっしょ!でも良かった。一人入った。あと...最低でも3人か。余裕だよ、余裕!いや、大分調子に乗ってしまった。ごめん。
「ビラ配り、私も手伝うよ」
「ありがとう!」
こうして私達は再びビラを配り始めた。
「娯楽部...」
私達は遠くからの視線に全く気づかないでいた。