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無の空間⑦

 イサークは死ぬためにこの世界に来ていた。イズミから聞いた話だ。本人が直接話していたわけじゃない。ただ、イサークの理想は強い魔術師、教術師に殺されるということだ。そんな魔術師、教術師と戦うことを誇りに思い死んでいくことが奴にとっては幸せだったのだ。それに何かおかしいとアキも霧也もおかしいと思っていた。勝ち目がないようなメンバーだと、障害の多いメンバーばかりだった。あいつは魔術師として生きていきたいという魔術師を多く連れてきた。彼らもまたイサークと同じような考え方だった。魔術師として生きた。だが、彼らの場合は最後まで戦場に立つ者の役に立ちたい。その思いをイサークは受け止めて魔力を吸収した。そんな戦場ばかりにイサークはいた。すべてイズミの話だ。よくイサークといっしょにいたアキは知らないことだった。

「ゴミクズ。お前は知ってたのか?」

 白い無の空間。そこで俺はゴミクズと共にいる。今日のゴミクズは何もしておらずただソファーに腰を掛けているだけだ。俺はその正面に座っている。

「知ってたよ。確信はなかっけどな。最後のあいつの攻撃は明らかに無謀だ」

 確かに破壊されるのに岩の剣を使って俺に斬りかかって来た。その攻撃は無謀だった。

「それで殺したのか。約束知ってるよな?この力で人は殺さないってよ!」

 俺はその現場を見ていない。ゴミクズと入れ替わった後、気付いたら施設の部屋で寝かされていた。アキの話では魔力を限界まで使ってしまったせいだと言っていた。その後に俺がイサークを殺したことも話した。イズミから聞いた話もその時に知った。

 それでも俺の手には感覚が残っている。さっきまでどくどくと生きていた人がその手のひらで動きを止めて冷たくなっていった感覚だ。考えるだけで今にも吐きそうだ。

「すまない」

 ゴミクズはそれしか言わない。

「それだけか?本当にそれだけかよ!」

 ゴミクズは何も言わない。

「助けられたかもしれないだろ!いくら多くの命を絶ってきた奴でもイズミという希望になり続けないといけないだろ!残されたイズミはどうやって生きていくんだよ!」

何も言ってこない。

「何か話せよ!おい!」

 胸ぐらをつかみかかる。ゴミクズは泣いていた。

「うるせーよ!」

 突き飛ばされる。

「俺にとってもあいつは最高の(だち)だったんだよ!それをこの手で殺したんだよ!まだ手が震えてるよ!今まで普通に人を殺して来たのによ!震えが止まらないんだよ!俺はどうかしちまったんだよ!」

 今度は俺が言い返せなくなってしまった。

 複雑に絡みあった。イサーク、イズミそしてシン(ゴミクズ)。その関係は今でも強く結ばれている。霧也と氷華と同じように強い糸で結ばれている。それは見えなくなっても同じだ。

「ゴミクズ」

「なんだよ?」

「俺は殺してしまったイサークのために何ができる?」

「・・・・・・・・・」

 答えはない。死んでしまったものは質問しても答えてくれない。どうしていいか。ゴミクズは分からないのだ。

「俺は許さないのはイサークをそこまで追い詰めた魔術が許せない」

 ゴミクズが涙をぬぐい顔をあげる。

「美嶋も魔術の世界に巻き込み。怖い目にあわせて、霧也の普通の人生を奪い、アキをたった一人の女の子として見せないようにした魔術。俺はその魔術を許さない」

「だからどうする?」

「この世界の魔術をすべて破壊する。この力なら可能だろ?」

 するとゴミクズは薄く笑う。絶対に無理なことだからだ。それは世界に存在する絶妙的な法則を破壊するということだからだ。だが、ゴミクズは言う。

「やってみるか?」

「ああ!」

「教太。お前は俺の最高の(だち)だな」

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