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劣化部隊⑤

 俺は今空を飛んでいる。それはいつもことだ。魔力と体力を使うが移動が楽だからしょっちゅう使っていた。この契約系の魔武である右風刀は通常の風属性魔術よりも扱いが楽で戦闘以外でも役に立つ。そのひとつがこの移動というわけだ。でも、今俺が飛んでいる所は戦場だ。こんな緊迫したところを飛ぶのはアキナと初めて出会って俺が死ぬ時以来だ。梨華が襲ってきたときは身内だったこともあってか緊迫した戦場という感じではなかった。本当に久々だ。

 全員が上空にいる俺の方を見ている。風属性魔術の特徴。それは機動力。遠近ともに大した攻撃力を持たない風属性魔術だがその機動力はどの属性魔術にも存在しない。だから、風属性に強い火属性と氷属性の魔術で交戦してくる。右風刀から起こす突発的に起こる風で攻撃を交わす。上ばかりに気をとられている奴らは地上で這いつくばる最強の男の存在を完全に忘れている。

「はぁあああああ!」

 火の玉で俺のことを狙っていた魔術師が教太の急接近に今更気づいた。教太は力を発動したまま魔術師が火の玉を持っている右腕を殴る。バキンと何かが折れると音と共に血が噴き出る。歪んだ叫び声をあげて魔術師はその場に倒れる。 「まずひとり!」

 魔術師たちが一斉に教太の方を向く。でも、それは教太に近い側の魔術師のみ。その半分は俺の方を見ている。戦力を分けて確実に仕留めに来たようだ。人数は6人程度。そのくらいの人数なら容易いことだ。

 俺は右風刀の風を止めて右手に持つ雷属性の魔武の小刀に雷を発生させる。その小刀をナイフのように一番近い魔術師に向けて投げ込む。その魔術師は手には氷の塊がある。美嶋さんが昨日発動していたものと同じタイプのようだ。俺はその氷の塊に向けて投げる。魔術師は氷の塊で投げた小刀を弾こうとするが雷属性は氷属性に強い。小刀は弾かれずに氷の塊に突き刺さる。それに焦ったのか慌てて小刀を抜こうとする。俺は右風刀の力を再び発動させてその魔術師に向けて突撃する。その際、炎やら風やらの攻撃が来たがそれを交わしながら魔術師に斬りかかる。俺が斬ったのは魔術師の氷の塊だ。雷によって強度を失った氷の塊は右風刀の斬撃で簡単に砕けた。地面に着地した後、がら空きになった魔術師に右風刀の鞘を使って振り上げるように顎を攻撃する。脳に直接響く物理的攻撃だ。魔術師は体を宙に反り返り地面に倒れて動かなくなった。

「さて」

 俺はさっき投げた小刀を拾う。魔術師たちがそれぞれ魔術を発動させる。

 あの魔術師は殺していない。これは教太の願いでもあるが、アキナが魔女であった時の人が死ぬ苦しみを感じてほしくないためにやっている。正直、殺すより難しいことは間違いない。

「だからどうした?」

 今の俺は梨華や教太に言わせているような平和を楽しむ霧也ではない。

「機関出身!風上風也!貴様全員まとめて倒してやるよ!」

 魔術師が一斉に飛び掛かってくる。俺は戦う。アキナのために。何より俺の帰りを待っている梨華のためにも。

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