騒がしくも平和④
この宿泊研修の日程を把握して置こう。
1日目は他クラスの合同授業。これを通常の授業1時間分を行う。その後は飯を食べてクラス単位で進路相談的な教育相談をやった後再び自由時間になる。外に出ることは厳禁だが、体育館でスポーツを楽しんだり、風呂に入ったりとそれぞれ自由なことをする時間だ。
2日目は朝飯を食べてしばらく自由時間の後、外に出て商店街を散策する。そこで各々自由に昼飯を食べる。夕方に戻ってきて後は初日と同じだ。
3日目も朝飯まで同じスケジュールでその後、施設の外で自作の陶器を作ったり、アウトドアを楽しんだりする。夕方からは初日と同じだ。
最終日は昼に施設の掃除を行ってから帰るという感じだ。
初日の自由時間。アキは美嶋とその他の女子と共に風呂に行っている。オカマは行方不明。だから、無視する。勉強のせいですべての気力を削ぎ取られてしまった。このまま寝たいがとりあえず風呂に入ることにしよう。
必要なものを取りに行くために部屋に入ると霧也がテレビをつけて寝転がり完全にくつろいでいた。
「俺じゃなかったらどうするつもりだったんだ?」
「安心しろ。教太と俺意外は入れないようになってる」
便利な結界だ。引きこもりなら誰もがほしがりそうなものだ。
「なんでアキは対象外に?」
「こちらのアキナが入ってきたら困る。一応面識があるからな」
確かに不審に思うだろうな。知っている相手ならなおさらだ。
「アキナは?」
「美嶋と風呂だ」
「そうか・・・・・・・」
なんだ?この沈黙は。俺がアキと美嶋が風呂に入っていると言った瞬間のこの静まり方はなんだ?まさか興味があるのか。いや、俺も興味津々だけれども。でも、核爆弾を背負って活火山を登山するのと同じくらいのハイリスクだぞ。特に美嶋なんかに見つかったら問答無用で殺される。ただでさえクラスでの印象が不良の俺がそんなことしてみろ。社会復帰できなくなる可能性だってあるぞ。
「どうした?」
「お前はあれに興味があるのか?」
「・・・・・・ある」
マジか。あるのか。なんかそういうのがすごく苦手そうな霧也もやはり男だ。行くべきなのか。確かにアキといい、美嶋といい、蒼井と言いこの学校には美人が多い。おそらく、誰も知らない戦士たちが幾度も散って行っただろう。だが、行くべきだろ。男なら。
「行ってみるか」
「できることなら今すぐ行きたいな」
よし、戦友をひとり獲得したぞ。というか見た目に寄らず積極的なんだな。やはり俺の親友だ。オカマとか使い物にならない。
しかし、普通に言ったらすぐに見つかってしまう。
「何かいい方法はないか?」
「俺の風で飛べば楽そうだな」
確かに霧也の風を使えば長時間の空中移動が可能だ。木の上とかベタすぎてすぐに見つかる。なら、それより上空に行けば大丈夫だ。
「さすがだな」
「だろ」
そうと決まれば善は急げだ。アキも美嶋も蒼井もいっしょに風呂にいる。
「行くぞ!霧也!」
寝ころびながらテレビを見ている霧也を引っ張り起こす。
「行くってどこに?」
「女湯だ」
「はぁ?」
何をとぼけている。いい作戦を考えてくれたじゃないか。
「だって、興味あるって」
「テレビで紹介されてた温泉街のことだ!」
「今すぐ行きたいっているのは女湯じゃなくて!」
「温泉街のことだ!」
「いい方法って風の魔術を使って上空から覗くんじゃなくて!」
「遠いけど、俺の魔術を使えば楽だなとということだ!」
まぎわらしいな。
「女湯を覗いても何も特しないぞ。止めておけ」
「その口調はまるで覗いたことがあるようだな」
そう言ったとたん霧也が固まって動かなくなった。
おや?図星のようだ。
「いつかな~?」
そっぽを向いて俺の質問に答えようとしない。なら、いい方法があるぞ。
「なら、氷華にでもアキを通して報告する必要があるかもな」
「待て!冗談抜きで殺される!氷漬けにされる!」
確かにそうかもな。氷華は嫉妬深いし。
「で、いつだ?」
「・・・・・・・2年位前。逃げ出した機関の全員でひとつ屋根の下で暮らしていた時だ」
「その現場にもしかして氷華もいたんじゃね?」
「・・・・・・・・・」
「まさか、氷華の裸が見たかった・・・・・・・とか?」
「今すぐお前を抹殺しよう」
刀を取り出す。
「待て待て待て待て!男なら仕方ない!俺だって今アキと美嶋も裸を全力で見たいと思ってる!」
「俺だってそうだ」
不味い。このままだと霧也のキャラクターが崩壊する。
「落ち着け!霧也!」




