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仮面の女②

 暗く静かな夜の森。虫たちが鳴き夜行性の動物たちが足音を殺しながらその森を歩き回る。すると突然閃光が森中を照らす。次の瞬間爆音とともに森全体の木々が爆風に揺れる。眠りについていた動物たちも慌てて逃げ出す。暗い夜の森に爆炎が上がる。その中心にいる人物。眉間にしわを寄せた目を半分だけ開けて睨みつけるような目。ぼさついた髪を後ろでまとめている男。年は30くらいはあるだろう。その男の周りには黒装束で杖を持った者たちが倒れていた。皆、生力を吸い取られたようにしおれた顔をしている。

「全部雑魚か。オレもなめられたな」

 すると近くの茂みが動く。男は振り向くがその顔に焦りはない。

「戻ったか。イズミ」

「はい」

 黒いマントで全身覆った顔立ちの良い少女。年は10代後半であろう。黒髪のショートヘアー。前髪をヘアピンでとめている。そのヘアピンがクモの隙間から照らす月明りで光る。名前はイズミというらしい。

「向こうの追手は?」

「始末しました」

「いい子だ」

 男がイズミの頭を撫でるとイズミは猫のようにうれしそうな顔をする。ふたりは再び暗闇に支配される森を歩き出す。イズミという少女は男の背後に付き警戒しながら森を進む。すると男の足が止まった。イズミは正面に何かいることに咄嗟に気付き男の正面に回りカードと十字架を取り出した。

「ちょっとちょっと!落ち着いてよ!」

 月明かりで視界が明るくなる。

 目の前に現れたのは女だった。面をかぶった奇妙な女だった。

「しまえ。イズミ。俺はこいつのことを知ってる」

「本当に!ありがとう!」

「確かマラーとかいう女だ」

「ご名答」

 するとマラーの背後に同じ面をした護衛らしき男が現れた。その手には機関銃が握られていた。

「物騒な護衛だな」

「そっちだって」

 お互いに警戒心を強める。男もマラーも手ぶらである。一見戦う意思はなさそうに見える。だが、教術師の場合だと手ぶらでも戦うことが出来る。魔術の世界とはそういうものだ。

「追われてるみたいだね。相手はMMさんの部隊かな?」

「よく分かってるじゃないか」

「知ってるよ。イサーク・ブランド。日本支部の副支部長として自らも最前線で戦う強者の教術師。それからそこの護衛はイズミちゃん。あなたに忠誠を使っているかわいい女の子ですよね」

 ただでさえ険しい顔をしているイサークという男の顔がさらに険しくなる。敵視しているのをあからさまにしている。

「怖いですよ~。私たちはMMの追手とは違いますよ。同じ追われるものですよ」

「意味が分からない。オレに何の用だ?」

 するとマラーは面の向こうで薄く笑った。

「君はとある理由で逃げていることを知ってるよ」

「だから?」

「その手助けをしようと思ったわけだよ」

「さらに意味が分からない。お前には俺たちを手助けする理由が分からない」

「あるよ。話を最後まで聞けばね」

「そうか。なら最初に聞いていいか?」

 マラーは頷く。

「それは本当に逃げ切れる手助けなのか?」

「本当だよ。だって、逃げる先は・・・・・・・」

 森に風が吹き荒れる。それはイサークの背中を押すように吹き荒れた。まるでマラーの言うことを自然が聞けと言っているような気がした。だが、イサークはそんな自然の言葉を聞かなくても迷いはなかった。

「すまない。訊きそびれた。逃げ先はどこだ?」

 マラーはくすくすと薄く笑って言う。

「異世界だよ」

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