新しい仲間 ―3人と2匹?―
狐っ娘かわいいよ
モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
「さて、そろそろ次の街にいこっか。」
『は?もうかよ!?もうちょっとこの街いようぜ。』
「だってもう仲間ならフィルがいるし、必要なものは母さんからもらっただろ?」
『よくないっ!前からアキだけ使い魔(レイ)がいるだろ?俺も使い魔が欲しいんだよ!』
「使い魔、ね・・・確かにこのガイラルの街なら使い魔もいるし、突っ走るリトをいちいちサポートもできないし、いいんじゃないの?」
お前、なんでそんなにグサッとくることを簡単に言えるんだ・・・
「あの、でも使い魔って上級使い魔だったりすると、すごく高いんじゃ・・・」
え?そうなの?
「レイさんもかなり訓練されていますし、珍しい毛色なので高かったんじゃないんですか?」
「レイのことはたまたま拾って、俺が訓練したんだ。こいつ、拾ったときは体が弱くって。」
「ンニャァ♪(そうなのです!)」
『マジかよ・・・』
俺、金とかろくに持ってないんだけど・・・・・・( ゜д゜)ハッ!
『なあ、アキ・・・「お金は貸さないから。」
『ひっでえ!まだ何も言ってないだろーが!』
「リトのことぐらいずっと一緒なんだからわかってる。舐めないでくれないかな。」
こ、こいつ無意識にデレやがった!つうか全部お見とうしかよ・・・
「あ、リトさん、これを見てください!『上級使イ魔、売リマス』だそうです!場所は・・・ここなら知ってます!でもここ少し治安が悪いところですね。」
『まあでも、安いなこれ、アキもいくだろ?』
「なんで僕がこんな胡散臭いところに・・・『いこうぜ!』「いきましょう!」
俺とフィルがこんなに言ってるんだから大丈夫なはず!
「しょうがないな・・・・はぁ・・・」
なんとかアキをなだめながら俺達は使い魔を買いにそこに行った。
「すっかり暗くなっちゃいましたね。」
『そうだな・・・っと、ここだここ。すいませーん!!!』
すると店らしきところの奥からフードを深くかぶった店員らしき人が出てきた
「あっ、レイ。」
ニィヤァッと、何故かレイが逃げてしまった。
「いらっしゃいませ、ここでは上級使い魔を揃えております。いかがでしょうか?」
『あの、その使い魔が欲しいんですけど・・・』
「これはこれは・・・貴方は幸運ですね。」
え?
「今日はとてもいい使い魔を入荷しまして・・・」
フフッっと店員が薄く笑った、そのとき、 バァンッ!
「おいっ大変だ!くそっあいつ・・・この辺一体に火を付けやがった!」
「チっ・・・すみませんがお客さん。今日は帰ってくださいませんかねぇ」
そう言うと店員は走って外に出ていった。
『あっ、おいっ!』
「リト、早くここから出るよ。あの店員、さっき魔装銃を持ってた。クソ、・・・やっぱりここに来たのはハズレか。」
『「ええっ?!」』
「リト、フィル、行こう。まともな一般人が魔装銃なんてもってるはずがない。」
俺達は駆け出したが、(クソっなんで宿屋への道が通れないんだよ!)
宿屋への道は何故か怪しい男達に占拠されていた。ほかの道も同じようになっていて、俺達は仕方なく近くの小さな林で休んでいた。
「どうしましょう・・・さっきから武器を持った人が彷徨いていますし、ここも安全では無いです。」
『どうするもこうするも、帰るしかないだろ。』
「その帰る方法がないって言ってるんだよ。ってどうしよう?!レイがまだ戻ってきてない!」
とアキが叫んでると、ちょうどいいタイミングで、レイが帰ってきた。
「レイ!「レイさん!」
アキとフィルが同時に声を上げた。
『レイ!お前大丈夫だったか・・・って、血?!どこか怪我したのか?』
「ニィーアォン(レイは大丈夫なのです!それよりも・・・)」
そのとき、レイのきた方向の茂みから、人影が倒れてきた。
『お、おいっ大丈夫か?!』
その人物は血だらけで、なんと女の子だった。
「大変です!このままでは出血多量で死んでしまいます、すぐに治療しないと!」
『アキ!』
「ああ、わかってる。」
「穢れなき大いなる天の御使いよ汝をその清き血で癒せ、その血は魂までも癒し、乾きを潤す。」
アキが詠唱を唱えると、女の子の傷がふさがっていった。
「うっ・・・くぅっ」
『傷を癒したのに、苦しそうだぞ?』
「傷は癒せても、ダメージは回復してないからね・・・・服装からして、異国からきてるのか?」
よく見ると、その女の子はここではあまり見たことのない格好をしていた。
白い上衣に緋色のひらひらとしたズボンの様なものを履いていて、シンプルな服装だった。
金色に輝く髪には・・・
『あれ、この娘、獣人なのか?』
ケガやその格好に気を取られて今まできづかなかった。その娘には、狐のような金色のフサフサとした尾と耳が生えていたのだ。
ガサッ
『なんだ!?』
「やぁっと見つけた、この化け物が。」
「随分と手こずらせやがって。お前を売る前に痛めつけておくか。」
「よくもやってくれたなぁ、おい。お前が放火したせいでおかげでこっちは火傷したんだよ。」
『なんだよお前らは!?』
「あ?なんだお前ら、その化け狐を庇うってんなら、殺すぞ。」
「早くこっちにそいつをよこせ、そしたらお前らは返してあげるかも知んないぜ?」
ざっと20人ってところか、武器もそれ程ってわけじゃない。化け狐って、この獣人の娘のことか?よこせって、そんなの答えは・・・
『オッサン、この娘を渡したら、俺たちのことは見逃すんだよな?』
「ああ、もちろんさ。見逃してやるから早くそいつを渡せ。」
「リトさん本気ですか!?この娘のケガ、どう見たってあの人たちがやったものでしょう?!」
フィルが悲鳴にも似た声を上げる。
『わかってるよフィル、俺はこのオッサン達みたいなクズじゃない。』
「リトさん・・・・」
「なっ・・・!?なんだと!」
『教えてやるよ、オッサン、答えはNOだ。』
「僕達もずいぶん舐められたもんだね、リト。こんな奴等に『見逃してやる』なんて言われるなんて。」
『ああ、そうだな。まあNOって言っちゃた訳だし、やることといったら・・・』
セリフを言って、カッコよく敵を倒そうと思った次の瞬間、俺は無様に転んでしまった。
俺って本当、ついてねえ。と思ったとたん、さっきまでリトの頭があったところを銃弾が打ち抜いていた。
『うおっ!?(;゜Д゜)!』
「きゃあっ!」
マジかよ・・・銃弾よけるとか俺カッコ「よくはないよ。」
「にしてもまた『絶体絶命幸運』か・・・僕も大概チートだけど、これ以上のチート能力ってないよね。」
『さり気にひどいし、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!・・・いくぞアキ!』
「久々に少しは楽しめそうだね。」
その瞬間、俺は跳んだ。
『おらぁあああああああああああああ!』
魔術を使って能力を上げると、ものが簡単に切れてしまって少しつまらない。
まず、バスタード・ソードで銃を叩き落とすつもりが、
『あ、』
まっぷたつに切れてしまった。
「特別製の魔装銃が!?」
「なんだよ。こいつも化け物なのか?!」
『化け物ってひどいなぁ、本当の化け物っていうのは・・・』
『強大なる力を与えし神々の化身、神獣よ。汝のその神聖なる力は大地を揺るがし天を裂く、その気高き姿を我に与えん!』
その瞬間、俺の周りに突風が吹き荒れ、その風が静まる頃には、俺の姿は完全に変わっていた。
鋭く伸びた爪と牙、体から生える狼のような耳と尾。鳥のように大きな翼。
『化け物とかって言うより、一応これでも神獣なんだけどね。』
「な・・・・・・・」
言葉を失っている敵に対して俺は一気に攻撃を仕掛ける。
「あんまり魔術使って能力上げすぎるなよ、リト。殺しはしたくはないから。」
『わかってるって、そんな何倍も身体能力上げるほど強くないだろ。アキは10人ぐらい相手してくれ、フィルはバリアで援護してくれ。』
「は、はいっ!」
『少ないなぁ・・・ま、いいか、行くよレイ。』
「ニャッ(わかりました!)」
レイの銀色の毛は鋭く輝く白銀の刃に姿を変え、その朱と黒の瞳は妖しげに光を放つ宝石の装飾となる。これがレイの魔術であり、アキの魔法武器、漆黒のクレセント・アックスだ。
三日月の様な刃だけが光を放つ、その異様な姿に気を取られた瞬間、敵はもう地にひれ伏していた。
『もう終わりか、早いな。神獣化した意味無いじゃん。』
そう言うと俺はすぐに元の姿にもどった。
「いこう。また敵が来ても厄介だ。」
『それにこの娘の手当てもしないといけないしな。』
「はいっ!」
そうして、俺は獣人の女の子を抱えて、俺たちは宿屋に戻った。
あの娘は意識が戻りで、何日もの間目が覚めなかった。そうして数日後、
「リトさん、アキさん!あの娘の意識が戻りました!」
『本当かっ!?』
「よかった・・・」
フィルの献身的な看護のおかげで、やっとあの娘の目が覚めた。なんで看護したのがフィルだけかって?男が女の子の看護するにはほら、いろいろと問題があるだろ?
まあ、そんなことよりあの娘の意識が戻ってよかった。
「あの、すいませんがここは・・・」
『ここはガイラルの街の宿屋だ。この黒髪の無愛想なのが弟のアキで、こっちのローブ着てる子がファルィ、君の看護をしてくれた子だ。で、俺がリト。』
「確かに無愛想だけどその紹介の仕方はないんじゃない?」
「よろしくお願いします!ファルィです。フィルってよんでください!」
「はあ、・・・あの、質問があるのですが、私は傷だらけだったはずです。どうして全部の傷がふさがっているのですか?それと、私をここに運んでくれたのは?あともうひとつ・・・」
『君のことを治療したのはアキ、治癒魔法を使ったんだよ。あと君を運んだのは俺。』
「最後の質問は、君のことを追っていた奴等のこと?」
「はい・・・」
『そいつらなら俺達で倒した。曲がりなりにも勇者が傷ついた女の子を放ってはおけないしな。』
「『ゆうしゃ』、ですか?」
勇者のことも知らないのか、一から説明しないとな・・・・
「そう、だったのですか。救けていただき、有難うございました。」
『いや、別にそんなお礼言ってもらうことじゃないしさ。』
「ですが・・・・私にも、助けてもらった恩というものがあります。どうか、お礼をさせてください。できれば、貴方にお使えしたいのです。この命にかえても、貴方をお守りします。」
『馬鹿なこと言うなよ。『この命にかえても』なんて、俺達が助けた意味がないだろ?』
「!・・・そうですね、出過ぎたマネをしてしまいました。でも、やっぱり恩返しはさせてください。なんでもいいのです、お願いします。」
『なんでもっていわれてもなー、欲しいものならあるんだけど。』
「その欲しいものとはなんでしょうか?」
『使い魔だよ。俺のアシストをしてくれたりする、出来ればレイぐらいの大きさのさ。』
「二ャァ~?(レイですか?)」
「これぐらいの、大きさですか?」
『ああ、それで魔術とか使えればいいかな。』
「わかりました、やってみます。」
え?やってみるって、何だ?
ポンッ!
煙が急に出たと思うと、そこには金色の毛の可愛らしい狐がいた。
『なっ!え?!』
「可愛いです!狐さんでしょうか。」
「へぇ、詠唱も唱えてないけど、変身魔法かな。」
アキもフィルもんなこと言ってる場合かよ!
その狐は確かにレイと同じぐらいの大きさで、使い魔にちょうどよさそうだった。
「こんなものでどうでしょうか。これでリト様の使い魔というものになれますでしょうか?魔術というのは、この大陸で言う妖術のことですよね?」
『なれるけど、どうゆうことだよ、これ?!』
「自己紹介が遅れました。ここから遥か東の国から来ました、妖狐のコンです。 」
「不束者ですが、よろしくお願いいたします。」
また新しい仲間を加えて、リト達は次の街へと冒険を続けるのであった。
楽しんでもらえたでしょうか?
今回は予想以上に長くなってしまいました(´・ω・`)