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03: 歯医者さんへ行こう
「騙したわね!」
「人聞きの悪い。叫ぶ余力はあるではないか」
「あうう……」少女は腫れた左頬を両手で押さえた。
銀髪の男は呆れたように紫の視線をそらす。
少女は歯医者が嫌だった。だから銀髪男の異世界への誘惑に乗ってしまった。
「痛みは魔法で改善の余地が。我が世界の主に助力を」
「最初から治癒の保証はしておらぬ。完治させる術なぞない」
異世界を救い帰還して歯医者へ行こう、是非イキタイと願う少女だった。
「早く来い」
異世界召喚物、だと思っています。