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13: 続・料理のできる男は
「別れちゃった、新ちゃん」
「ふいた茶碗に鼻水たらすな。で……なんでまた。半月だろ」
ここは幼馴染、新ちゃんちの台所。食後の洗い物を手伝っていた。私が『思い出し泣き』を始めるまでは。
鼻水という言いがかりに文句をつけたかったけど、今はそれどころじゃなかった。
「尾頭付きの魚を、箸で食べられないのは日本人じゃないって」
「マジかよ」
嘘です。
新ちゃんの事を悪く言うから喧嘩になったせいだ、なんて言えない。
『07:うろこ雲』『11:料理の~』の続編です。('10.11.6改)