特撮レッドに沼った男と、外に出せない「息子」の話
この歳で戦隊ものにハマるとは思わなかった。
戦隊ものとは、赤・青・黄・ピンク・黒の男女混成・非営利戦闘集団のことだ。
俺を沼らせたのはリーダーのレッド。
もろ好み。
Wikipediaで調べてみたところ、彼は東南アジアの血が入っているらしい。
やや褐色がかった肌と、濃いめで甘いエキゾチックな顔立ちには、溶かしバターと蜂蜜を同時に口に含んだような背徳的な色気があった。
番組は毎週日曜日の9時30分から放送されている。
午後じゃない。
午前だ。
いい大人がピチピチのレオタードに身を包み、謎の集団と肉弾戦を繰り広げるプレイ模様が、日曜朝のおかずになっている。
おかげで俺の息子は朝から元気いっぱいだ。
中でもギンギンになった回を挙げるとすれば、やはり第3話の夏祭りは外せない。
ふわふわ氷にイチゴシロップをたっぷりかける浴衣姿のピンク。
焼きそばの取り合いをしているブルーとイエロー。
クールにラムネを決める一匹狼のブラック。
そんな中、レッドが口いっぱいに頬張っているのは、特大サイズの「フランクフルト」だ。
彼の開口の限界を試すような肉棒は、たっぷりの脂で彼の唇を濡らしている。
薄皮に歯を立てれば、プツッと剥けた内部から濃厚な肉汁が溢れ出したことだろう。
さらにイエローが背中を叩くと、レッドはフランクフルトを咥えたまま、ゴフッとむせる。
彼の目尻に涙がにじんでいないか。
彼の口角に唾液が漏れていないか。
レッドを拝むために新調したテレビ画面に、俺はトカゲのように貼り付いた。
さらに神回として記憶に新しいのは、第8話の海水浴の回だ。
海水浴といえば水着。
そして水着と言えば「乳首」。
期待と息子が膨らむ中、各メンバーカラーの水着を着用したレンジャーたちが、続々と画面に現れる。
俺のレッドはどこだ?
二次元の画面の奥まで目を凝らした俺は、彼の姿を見つけた途端、顎が外れた。
レッドが着ていたのは、まるで体操服のような赤いジャージと白のTシャツだ。
なんだこれは?!
これが事務所の圧力というものなのか?!
大人の事情を前にして、俺の息子も意気消沈する。
ところが、本番はここからだ。
沖合で子役が溺れている。
その子供を助けに、レッドがTシャツのまま海に飛び込む。
当然レッドの身体はずぶ濡れだ。
海水を含んだシャツはレッドの素肌にピタリとはりつき、透過度を高めた生地は彼の褐色がかった肌を艶めかしく透かし見せる。
そしてレッドが華麗なクロールを見せた際、その光景は突如として現れた。
レッドの胸元に、他の部位とは明らかに異なる、丸い色相が透けている。
まばたきの合間に姿を消したそこは、よりシャープネスと濃淡を調整した形で、俺の脳裏に刻み込まれた。
そんな俺の願望は、生でレッドに逢うことだ。
彼にはこう伝えたい。
「俺の息子が大ファンです。」と。
そして言いたい。
「でも、息子は事情があって、外に出せないのだ。」と。
きっと彼は甘く微笑んで、こう言うだろう。
「息子さんに、よろしく。」
「息子」って便利な言葉ですよね。




