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ライバル兼親友ポジションのレイス・トゥワイエット


 このままでは埒があかない。

 なんかそれっぽいこと言って国外逃亡しよう。

 ゲームはエンディングを迎えている。

 これ以上、関わる必要なんてない。

 まあ、自分の実力を試したいっていうのは半分くらい本音でもある。

 “ライバル”兼“親友ポジション”の『レイス・トゥワイエット』は攻略対象とは違って主人公たちと対をなす存在として、スペックが総じて高い。

 主人公たちが学園で仲間にできる攻略対象たちはそれぞれの魔法属性を持っているが、私――レイス・トゥワイエットは主人公のみが持つ光属性以外の七つすべてを持っているのだ。

 これは主人公が攻略対象を仲間にできなかった場合を想定して位置づけられたキャラクターだから、と製作陣に語られていた。

 なぜそんなことになるのか?

 魔王討伐の旅に同行させられる攻略対象は、学園の外にもいるからだ。

 魔王討伐の旅に同行させることのできる攻略対象は全部で四人。

 しかし、攻略対象自体はDLCのキャラクターも含めると三十六人もいる。

 当然、お気に入りのキャラを選別しなければならない。

 元々『覇者の集い』はスマホゲームが発祥。

 この異様な攻略対象の多さもそれに起因しており、端末ゲームに移植されたバージョンは戦闘が楽しめるように特化されたという経緯がある。

 だからタイトルも結構、乙女ゲームっぽくない。

 とにかく、『覇者の集い』は『強い男と精神が漢らしく物理的に強い主人公の恋愛』がテーマというそこはかとなくぶっ飛んだ開発理念の下、全体的に脳筋。

 攻略対象によっては主人公と一騎打ちして勝たなければ仲間にならないというやつまでいる。

 ちなみにルナーシャの双子の兄、アルカもDLCのキャラクター。

 戦闘が楽しすぎたため、男性プレイヤーを参入させるべくDLCで登場した。

 今後は男性プレイヤー目線も取り入れたいとのことで、男の娘キャラを増やすという運営の発表もなされた。

 ……そんな感じで結構イカれたゲームだ。

 女性キャラを増やすんじゃなくて乙女ゲームとしての謎の矜持を保つために男の娘を増やすって。

 ちょっと思考回路がぶっ飛んでるよね。

 え? そっち? って感じ。

 だからまあ、話を戻すとレイス()というキャラクターは主人公が一人でも多く安全に攻略対象を増やせるように、パーティーに固定で入れておくととても便利なキャラクターとして重宝されている。

 このキャラが入るまで、レイスで代用しよう、みたいなね。

 なのでレイス()は主人公には手の届かないタイプの強さを持つ万能バランスタイプ。

 この世界の人間が魔法の属性を一つ、多くて二つしか持てないところを七つも持っている破格のチート。

 試してみたい、と思うのはむしろ当たり前じゃない?


「必要であればアーレシュア王国とは敵対しない契約魔法を結んでも構いませんわ。わたくしを自由にしてはいただけませんこと? 陛下」

「それならば王宮にそなたが望む地位を用意する。元々此度のパーティーはそなたらへの魔王討伐の褒美を授けることが目的で開いた。望みがあるのならこの場で聞いてもよい」

「それなら! わたしは故郷に帰りたいです!」

「僕も」

「ぐ……ぐぬぬぬ……」


 ルナーシャとアルカが挙手して望みを告げると予想だにしない望みだったのか陛下が難しい顔で唸る。

 まあ、貴族が望むような地位や領土とも、平民や商人が望むような金銀財宝がほしいという望みともまったく異なるものね。

 陛下が想定していたものとは全然違って困っているのだろうけれど……。


「ルナーシャもアルカも学生時代から故郷に帰るのが目的と言っていたものね」

「うん! うん!」

「お願いです、陛下。僕たちは故郷でただ穏やかに暮らしたいのです。我々は汚染魔物と戦い、魔王を討伐しました。もう、戦いの中に身を置くことはつらいのです。平穏を望みます。そのお許しをください」


 アルカの切実な表情と言葉。

 ケビンは舌打ちして、アルカを馬鹿にしたように睨む。

 王侯貴族にはわからない。

 でも私にはわかる。

 私の両親のような人間しかいない貴族社会で生きていくなんてストレスで禿げそう。

 それなら、田舎のなにもないのどかな村でのんびりと暮らしたい。

 わかる。私も思う。


「――わかった。それならば、聖女ルナーシャ、聖人アルカ、そなたらの望みは受け入れよう。故郷に戻ることを許す」

「本当ですか!? やったー!」

「ありがとうございます!」

「そしてレイス・トゥワイエット。そなたには魔王が現れしかの国を再建すべく、我が国からの親善大使――いや、そうだな……国治官(こくじかん)として魔族国に行ってはくれまいか」

「国治官……ですか?」

「うむ」


 国王陛下いわく、現在の魔族国は魔王の出現により極度に弱体化しているという。

 確かに、生まれた魔王を探し回っていた時に感じたが汚染魔物の被害がかなりひどかった。

 アーレシュア王国を始め、他の国に被害は出なかったから“世界的に見れば”最小限だろうけれど……。

 魔族国は、自治が困難なぐらいになっている可能性があるという。


「魔族国を取り込むことも考えたが、あの国は定期的に魔王が生まれてくる国だ。属国にすることで魔王が生まれた責任を、今後我が国が被ると考えると一概にそれが最善とは言えぬ。故にこちらからは『友好国としての支援』に留めるのが望ましいと考えている。君の目から見て、魔族国にどの程度の支援が必要なのかを見極めてほしい。そして、可能ならば魔族国の運営に携われる地位にいてほしいのだ」

「魔族国を監視、操作するためですか……」

「気が進まぬのはわかる。だが、君が生きている間に復興が終わるとも思えない」



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