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誘拐 1

 エージェント共にさんざんな目にあわされた次の日、くるみが学校を休んだ。


「荒川。星浦さん風邪か?」

「いや俺もしらねーんだ。昨日は元気そうだったけどな」


 そういえばくるみが病気になるなんて珍しいな。

 元気だけが取り柄だと思っていたのに。


「これってお見舞いとかに行ったら、そこから愛が芽生えるパターンじゃね?」

「芽生えるかもな。だが俺は付き合わんぞ。行くならお前一人で行け」


「そんな殺生なー」


 相変わらずのヘタレめ。


 つーか、そういうイベントは二人っきりじゃないと駄目だと思うぞ。


 しかしくるみが俺に何の連絡もしてこないのも確かに気になる。

 そう思って俺はくるみにメッセージを送信してみた。


 が、いつまでたっても返信がないどころか既読にすらならない。


 メッセージを見ることが出来ない程、具合が悪いのだろうか?


 仕方ない、愛を芽生えさせるつもりは無いが帰りに寄ってみよう。

 そう思った俺は、とりあえず今日も来栖の誘いを無下に断って家路についた。


「お帰り。ハイスクールボーイ」


 家の前にオリバーが昨日と同じ格好で立っていた。


「またアンタか。何度きても同じだぜ。それともまた気絶したいのか?」

「ボーイの力は良く分かった。だからこちらも作戦を変えたのだよ」


 そう言ってオリバーがポケットから何かを取り出して俺の目の前に突きつけた。


「それは!」


 スマホだった。


 子供番組の名物キャラのストラップがついたピンクのスマホ。


 くるみのだ。


「お前! くるみに何をした!?」

「手荒な事はしていないよ。今はね。さて落ち着いてお互いの今後について話をしようじゃないか」

「ふざけるな! くるみは関係ないだろ!? 今すぐ返せよ!」

「分かった分かった。とりあえず彼女の所に案内しよう。乗りたまえ」


 そう言って、昨日と同じワンボックスを指差した。


 甘かった。

 俺は変身できるから大丈夫なんて安心してたが、こいつらがまともじゃない事なんて分かっていたのに。

 自分のせいでくるみに何かあったら俺は……


 車が止まったのは昨日と同じ倉庫だった。


「くるみ!」


 くるみは昨日俺が座らされたパイプ椅子に縄で括り付けられていた。


「心配するな。薬で眠っているだけだ」

「くるみを放せ」


「もちろん解放するさ。だがそれはビジネスが成立した後だ」


 昨日のようにこいつらを倒すこと自体は簡単だ。


 だが今は眠っているくるみの頭に拳銃が突きつけられている。

 今から変身して攻撃しても絶対に間に合わない。


「我々の要求はただひとつ。あのスーツを渡す事。そうすれば彼女は解放するし衛星の破壊も水に流そう。君は日常を取り戻し、合衆国は安泰だ。みんなハッピー。どうかね?」


「……無理だ」


「ほー、では彼女の命はいらないと?」

「そうじゃねえ! 渡すのが無理なんだ!」


「どういうことだ?」


 俺は着ていたシャツを思いっきり引き裂いた。


「取れないんだよ! 今の技術じゃ絶対に外せない。取れない物を渡せるかよ!」


 オリバーが俺の胸元をまじまじと見つめている。


「ウ、ウ〇トラマン?」

「M78星雲に生まれた覚えはねえ!」


 つーか、よく知ってるな。


「これは想定外だ。……取れないとなると彼女を人質にしたまま合衆国への忠誠を誓わせるか…………」


 オリバーがごちゃごちゃ独り言を言い始めたその時、けたたましい音を立てながら倉庫の壁が吹き飛んだ。

 そして壁の残骸を撒き散らしながら一台のトラックが突っ込んでくる。


「カウボーイ! そこの彼女は我々SVRが人質にしようと計画していたのだ。返せ!」


 ろくでもないのが増えたけど、これはチャンスだ。


 くるみに銃を向けていた男も思わずトラックに銃口を向けている。


「変身するぞ!」


 くるみに向かってダッシュしながら叫んだ。

 今回は間髪いれずに俺の体が光に包まれる。


 背中のブースターで一気に加速し、そのままくるみに銃を向けていた男に体当たりをぶちかます。


 男は綺麗に倉庫の端まで吹っ飛び壁に叩きつけられた。

 むちゃくちゃ痛そうだが、死んではないだろう。

 骨の二、三本くらいは折れているだろうが同情する気にはなれない。


「くるみ!」


「…大丈夫。ホントに寝てるだけみたいよ」


「よかった。…………よしジェノキャノンを出せ」

「いいの?」


「さすがにむかついた」

「いいわね、そのノリ!」


 右腕が一気に物々しい砲へと変形する。


「よおく見てろ! これがお前らの欲しがっていた力だ!」


 俺はターゲットを倉庫の天井にロックして叫んだ。


「発射!」

「yes! My lord!!」


 まばゆい光と共に天井が消し飛び、射線上にあった雲が跡形も無く蒸発した。

 そのあまりの威力に呆然としているCIAとSVRの連中にジェノキャノンの砲口を向ける。


「よく聞けクソ野郎ども。今度俺の知り合いに手を出したらこいつでアメリカだろうがロシアだろうが全部纏めて焼き払ってやる。防げると思うなよ? どこだって原子の欠片まで砕いてやる。キレやすい現代の若者を舐めるな。分かったか!」


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