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誤配送 3

 以上、回想終わり。


 今、俺の眼前にはたくさんの流れ星になって花のように広がっていく元人工衛星と、噓のように青い見渡す限りの大空が広がっていたりする。


「なあ、俺思うんだけどさ……、明らかにこれおもちゃのレベルを遥かに超えてるよね?」

「なによ、そんなに褒めても何もでないわよぉ」

 嬉しそうな声だねぇ。


「褒めてない」

「そう言われても私、対象年齢5から10歳向けのれっきとしたおもちゃよ?」

「こんなものをそんな低学年に与えたら世界が軽く滅びるぞ。まあいい、とにかくまずは家に帰してくれ」

「自分で帰りなさいよ。頭で念じるだけで動くわよ? どんなにバカでも使えるのが私の自慢なんだもん」


 試してみると、確かに自分の思い通りに飛ぶ事が出来る。

 まるで生まれたときから元々飛べたかのような違和感のなさ。

 とりあえず地上に降下して、自分のぶち破った穴から家に入る。


 これ親になんて言えばいいんだろう。


 無事、1階に戻った途端に、タイミングを計ったように家の電話が鳴り出した。

 正直、電話に出ている場合じゃなかったけど、ほおっておく訳にもいかない。


「もしもし?」

『夜分に失礼いたします。私、ホビーショップ ネネバシカメラの神崎と申します。荒川様のお宅でしょうか?』

「おおおお! そうです! よかった! 今、ちょうど外れなくて色々困っている所だったんです」


『……既に装着してしまっているんですね?』

「ええ……まずかったですか?」

『申し訳ありません。責任は弊社にありますが、確かにちょっとまずい状況ですね』

「すぐに外します! でも電池が聞いたことのない奴なんですけど……」


『そうですね、荒川様の時代ですとやっと基礎理論が考案されたレベルになりますね』

「……は? 時代?」


『申し遅れました。私は今、西暦2230年、つまり皆川様から見て未来からお電話させて戴いております』

「……は? 未来?」


『左様でございます。この度、弊社の超空間配送システムにトラブルが発生し、荷物の一部が過去の時代に送られてしまったのです。私共の時代でも荒川様と同じ住所に同じ名前の方が住んでおられまして、過去に誤配送された荷物がそのまま荒川様のお宅に配達されてしまったようなのです』

「いきなりそんな事言われても……信じられないというか、なんというか」


『そのお気持ちはよくわかります。ですが既に装着されておられるなら、内蔵されているAIやヒーロースーツが荒川様の時代の技術レベルと比べて明らかにオーバースペック過ぎると思われませんか?』

「ん……確かに。AIむちゃくちゃ態度悪いけど」


『態度が悪い? 過去への転送ダメージで人格プログラムにエラーが発生しているのかもしれません』

「とにかく俺はどうすればいいんですか? 未来から回収しにきてくれるとか?」


『残念ながら有機物のタイムトラベルはこの時代でも不可能なので我々がお伺いすることはできません。その代わりにすぐにこちらから核融合電池をお送りします。ただ、正確な時刻の過去への転送はかなり難しく最大で4ヶ月のタイムラグが発生します』

「4ヶ月か……まあ、外れるならなんでもいいです」


 すると神崎の声のトーンが一段下がった。


『荒川様、此処からが重要なのですが、その玩具は私共の時代では確かに低学年向けのたわいもない玩具なのですが、荒川様の時代では、はっきり言って無敵の最強兵器になります。迂闊に使えばあっさりと未来を変えるレベルの』


 ごくりと唾を飲み込む。


『ですからくれぐれも電池が届いて外すまでその力を使わないで貰いたいのです。歴史を変えてしまうような事になれば、荒川様にとっても私共にとっても必ず不幸な結果になります。こちらのミスですのでこんな事を申し上げるのは心苦しいのですが、どうかご協力をお願い致します』

「……判りました」


 神崎さん、すまねえ! 


 実はもう人工衛星一機葬ってしまったとは恐ろしくて口に出来なかった。


『それでは今すぐに電池をお送りいたします。運がよければ明日に届く事もありますが先ほども申し上げました通り、最大で4ヶ月かかりますので、しばらくお待ちください。それでは失礼致します』


 俺は電話が切れた後もしばらくそのままの姿勢で固まっていた。


「……おい」

「なによ」


「とりあえず元の姿に戻せ」

「馬に蹴られて死んじゃえ!」


 一瞬で元にもどった。


「今の元に戻る掛け声!? いくらなんでもなくね?」

「別に言葉は何でもいいのよ」


「さっきの人工衛星……あれで未来が変ってしまうことなんてないよな?」

「わからないわよそんなこと。未来から電話がかかって来てたぐらいだから大丈夫じゃないの?」

「まあそうか。…………とにかくもう絶対にお前ではあそばないからな」

「ふーん。でもアンタすでに私とのあつーい夜が忘れられなくなっている癖に」

「言ってろ!」


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