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誤配送 1

 その日の俺は部活のせいで疲れきっていた。


 サッカー部に入ったんだけどここは陸上部に違いないと勘違いする勢いで毎日ひたすらグラウンドを走らされている。

 ボールは友達って言いたいところだが、まだ出会ってすらいねえ。切ないぜ。


 そんな訳で夕方帰宅してすぐにリビングのソファに寝転んだまま寝てしまっていたんだ。


ピンポーン!


 そんな俺の汗臭い眠りがインターフォンの音によって破られた。

 前から気になっていたが、ウチのインターフォンの音はいくらなんでもでか過ぎる。


 デフォルトの音が小さすぎるって事で親父がアンプをかまして魔改造した結果、夜になったら確実に近所迷惑レベルの怪物になってしまったんだ。


 だからこの時も目覚めたと言うよりは跳ね起きた(実際数ミリは体が浮いていたと思う)

 親父に直せって言ったけど、一度改造したものには興味が無くなる性質らしく、にべもなく却下されてしまった。


 それ以来、我が家は来客がある度に、この音波兵器の被害を被るようになっちまった。

 まあわかりやすいけどね。


 チラッと時計を見ると午後七時。

 この時間だと共働きの両親はどちらも帰ってきていない。

 つまり俺が出るしかない訳だ。


 乳酸が溜まりまくった足を引きずって玄関のドアを開けると、そこにはやたらいい笑顔を浮かべた宅配便のおにいさんが立っていた。


「荒川さんですね? お届けものです」


「あーどうも。ご苦労さまです」


 ハンコが押された伝票を受け取ったおにいさんはまたもや、やたらいい笑顔を浮かべて風のように去っていった。

 俺もあんな笑顔が出来るような大人になりたいものだ。


 ちなみに届いたのは20センチ四方の箱。

 それ程重くはない。

 宛先人は荒川裕樹。間違いなく俺だ。

 差出人はホビーショップ ネネバシカメラ。


 んーーなんか俺頼んだっけ?


 ホビーショップって事はおもちゃか?


 サッカー用品ならいざ知らず、おもちゃを頼んだ覚えはないんだけどなあ。

 改めて伝票を確かめても間違いなくここの住所で俺宛だ。


「とりあえず開けてみるか」


 やたら綺麗に剥がれるテープを外して箱の中身を取り出す。

 予想通り中身はおもちゃだった。


「…………撃滅戦隊ジェノサイダー。……インフェルノレッド変身セット」


 ……すげえネーミングだぜ。

 恐らくヒーローなんだろうが正義の匂いが全くしねえ。

 最近のちびっ子はこんな物が好きなのかよ。


 日本の将来がとてつもなく心配だぜ!


 そして間違いなく俺はこんなものを頼んでいない。

 だけどなんとなく中身が気になる。


 わかるだろ? 俺も小学生の頃はこの手のおもちゃが欲しくてたまらなくて、買ってもらったら一日中つけてヒーローになりきったものだぜ。


 さすがにこの歳になってそれをしようとは思わないけど、最近の奴ってどんなんだろう? って気になってもしかたねーよな?


 そんな訳で返品する事を考え丁寧に開封。


「なんか……凄くシンプルです」


 箱の中に入っていたのは白っぽい丸いフレームに一センチくらいの突起が等間隔に三つ付いているペンダントみたいな物だった。


 真ん中には二センチくらいの赤いルビーのような半球が嵌っている。


 この手のアイテムって普通はもっとごてごてしていて、子供心をくすぐるようなデザインをしているだろー、作った奴センスねーな、とか思いながらなかば無意識に触れてみる。


「──!」


 手が触れた瞬間、半球が光始めた。そして、


「レッツ! ですとろい!」


 可愛い女の子の声で、物騒な発言を響かせながらどういう仕組みか、ペンダントがふわりと浮かび上がって俺の胸元に向かってくる。


「えええええええええええ?」


 そしてペンダントは服? なんですかそれは? そんな言葉、私の辞書にはありませんとばかりに服をすり抜けてしまった。


「ちょ、おまっ!」


 慌ててシャツを脱ぎ捨てるとそこには、


「すげえー、ウル○ラマンみてーじゃねーか。これで俺も三分間は無敵だぜ! ……って、そうじゃねえ! なんなんだこれは!?」


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