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プロローグ

これは10年以上前に趣味で書いていたお話です。

現在とは世界情勢がかなり違いますが気にせず読んでいただければ幸いです。

 人間って奴は二つの種類に分類できるらしい。

 すなわち平穏な人生を送る奴とそうでない奴とにだ。


 大抵の場合、自分では目茶苦茶な大問題を抱えているつもりでも、それは傍から見れば実のところ何処にでもあるような問題で、結局、後で振り返ってみればそれなりに平穏な人生だったと感じるらしい。


 そういう意味では人類の大半は前者に分類されるんだろう。

 かくいう俺もこれまでは間違いなく平穏な人類に分類されてきた。


 つい最近、受験戦争(戦争とは名ばかりで、命を落とす事なんてない。はず)をなんとか勝ち抜き、志望した高校に入学した。


 受験勉強をしている時は、世界中の苦しみを全部引き受けたかのように感じていたが、なんの事は無い終わってみればそんなもの誰でも同じ、平穏って奴の範囲に余裕で納まっている事だったんだ。

 そこで俺は悟ったね。


 この先、大学受験、就職活動とでかい壁があるけど、それもやっぱり平穏な人生の一部で俺は間違いなく人類の大部分に埋もれて生きていくんだと。


 別に嫌じゃなかった。

 まあ人生そんな物なんじゃねえの? って気がしてたからね。

 しかし俺は人生を舐めすぎていたんだ。


 確かに大部分は平穏な人生を送る訳だが、何をどう間違えたか思いっきり人生を脱線する奴も確実に居る訳で。

 その中に自分が入らないなんて保障は何処にも無い訳だ。

 現状を把握しよう。


 こんな益体もない事をつらつらと並べている俺は今、どうやら高度一万メートルにいるらしい。

 え? どうせ飛行機にでも乗っているんだろう、だって?

 まあ今の時代、高度一万メートルにいること自体はそんなに珍しくはない。


 だが、生身のままでそんな所にいるなんてちょっと珍しくね?

 つーか、珍しいなんてレベルじゃないよな!?

 雲ひとつねーよ! なんか地球がちょっと丸いよ! そしてやっぱり地球は青いんだよ!!


「どうしてこうなった!?」


 思わず上げた俺の魂の叫びを全く無視する返事が来た。


「現在の高度は一万メートルよ。地球の重力圏を抜けないように注意してね。もし出ちゃったら衛星軌道管理局のお兄さんに連絡しちゃおう」


 やたら甘ったるい女の子の声だ。

 でも残念。

 この声を出しているのは可愛らしい女の子じゃなく、俺の体に纏わり付いている機械なんだ。

 ここで追加説明。


 さっきは生身って言ったけど本当の所は少し違っていて、今俺の体は要所要所が機械のパーツで覆われている。

 傍から見ればこいつ動くぞ!? 的なコスプレをしているように見えるかも。

 確かこういうのパワードスーツって言うんだっけ?


「ん? なんだあれ?」


 その時、視界の上方でなにかが横切っていった。


「拡大するわ。あれは人工衛星ね。……検索結果、該当する登録衛星なし。ゴミだね。撃っちゃう?」


 その言葉と同時に、右手のパーツがガチャガチャと変形を始めてなんかやたらでっかい大砲に変身しやがった。

 明らかに前の質量を遥かに超えているサイズだ。

 質量保存の法則が涙目になってるぞ。


 そして目の前にはどういう仕組みか、モニター画面が浮かび上がって人工衛星が写しだされている。

 さらにご丁寧な事にターゲットスコープがばっちり合っててロックオンとか書いてるし……


「……ナニこれ?」


「ジェノキャノンよ! さあ撃っちゃおう」


「撃っちゃおうってさすがにまずいだろ」


「えーいいじゃん。撃っちまいなよ」


「だってあれ人工衛星だぜ?」


「大丈夫! 登録されていないからとっくに廃棄になった奴だよ。むしろゴミ掃除してえらいねって褒められるレベルだよ!」


「うそーん。でもなー」


「ごちゃごちゃうるせーな! 男だろ? ドカンと一発ぶちかましやがれ!!」


「じゃ、発射」


「yes! My lord!!」


 異常にいい発音で答えた瞬間、俺の右手から眩い光の束が人工衛星目掛けて迸る。

ビームをくらった衛星は冗談みたいに派手な爆発をしながら空の藻屑になってしまった。


「…………うそーん」


「命中だね! 木っ端微塵だね! デストロイだね! よっ犯罪者!」


 なんか機械がはしゃいでいるみたいだけど、こっちは頭真っ白だよ。

 なんでマジでビームでるの? 一撃で粉砕ってどーいうこと? つーかそもそもなんでこんなことになっているんだっけ?


 混乱って言葉の意味が判らなくなるくらい混乱しながらも、俺は何とかこの状況を理解しようとしたんだ。


 ええとなんだ? そもそもこれは俺が宅配便を受け取った所から始まったわけで…………



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