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第41話 ヤンデレ幼なじみのダンジョン攻略


ルミナが隠しキャラクターであるキースと遭遇している事など知る由もないアレクは、シーガイドのギルドに居た。





漸く海底ダンジョンの攻略が始まる。集められた精鋭達に混じって、ギルドマスターの説明を右から左へと聞き流す。





どうせ認識阻害を使っている自分は周りから認識されにくい。下手に連携をとるより、一人で勝手に動いた方が楽だ。



雑魚モンスターや面倒くさいトラップの対処は他の冒険者に任せて、僕は上位種を殺して回ろう。早く終わらせたいし。




アレクはやる気の無い顔で、ひたすら時が過ぎるのを待った。







「____では諸君、健闘を祈る」





ギルドマスターのその言葉を合図に、冒険者達は動き出す。




アレクはいち早く海底ダンジョンに着く為に、斥候として任命されたパーティに混ざる。彼らはまだアレクの存在に気付いていない。







「………本当にこの下にダンジョンがあるの?」





パーティの一人、魔物使いの女性がそう呟いた。




船を貸してもらってダンジョンがあるとされる地点の真下まで来たものの、水面を覗き込んでもそれらしいものは見えない。ただ、よく見ると水棲の魔物がウロウロとしている。海の中に魔物が居るのは珍しくないとはいえ、この数は異常だ。




海の中の魔物は、魔物使いが使役する鳥型の魔物___鷹を更に凶悪にした様な魔物___が何匹も飛んでいるため、捕食されるのを恐れて水面から深い位置で様子を伺っている。




「よし、作戦通り頼んだぞ」





リーダー格の男の指示を受け、1人の魔法使いが杖を振る。あっという間に船がシャボン玉に包み込まれる。




シャボン玉は船を包んだまま、ゆっくりと海へ沈んでいく。同時に、魔物使いの魔鳥も海へ飛び込む。






船を狙って襲ってくる魔物は魔鳥が排除して、それでも取りこぼしたヤツは弓使いや魔法使いなど遠距離攻撃持ちが仕留める。アレクも魔法で排除に回る。





暫くして、魔物の数が増えていくにつれダンジョンの姿が見え始める。神殿のような様相だが、朽ちているせいで神聖さの欠けらも無い。





シャボン玉に包まれたまま、船ごとダンジョン内に入る。話に聞いていた通り、ダンジョン内は不思議と息が出来た。





「では、道を作りましょう」




シャボン玉を作った魔法使いとはまた別の人間が、ステッキを振る。氷で出来た階段がダンジョンから水面へ向かって作られた。同時に、落下防止と魔物への障壁として氷の壁が階段の周りに作られる。





「よし。予定通り2、3人はここで待機。後から来る連中の手助けをしてくれ。



残りは奥へ行くぞ。俺たちの仕事はトラップの解除が中心だ。魔物との戦闘はなるべく避けていく」





男の言葉を無視して、アレクは勝手に進んでいく。しかし認識阻害のお陰で誰にも気が付かれていない。






迷宮の様に入り組んだダンジョン内で、何度も分かれ道を行ったり来たり。トラップに気を付けつつ、雑魚モンスターとの戦闘は避けて奥へ進む。





ある程度歩いた所で、アレクはおや?と首を傾げる。




目の前にあるのは解除されたトラップ。気付かず踏めば途端に大音量で警報がなり、周囲の魔物が集まってくる。





____変だな。僕は解除していないんだけど。




アレクはまだこの道を通っていない。そもそも、早く先に進みたいアレクはトラップを解除している時間も惜しいので、必要でない限りトラップを解除していかない。この様な踏んで発動するトラップは飛び超えれば問題無いので、例え見つけたとしても解除しないだろう。




斥候役のパーティとはまだ距離がある。彼らが解除したとも考えにくい。そうなると、一番可能性が高いのは____






「僕以外にも、先行している奴がいる…?」





ポツリと呟く。




アレクと同等か、それ以上のスピードでダンジョンを進んでいる冒険者がいる。恐らくその人物もアレクと同じで単独行動をとっているのだろう。





____アレクと同じ様に、高度な隠蔽スキルや魔法を使って。





だとしても、その人間___仮にAとする__の目的は何なのか。ダンジョン攻略だけが目的であれば、パーティを離れて単独行動する利点は無い。アレクは認識阻害の関係と、一人の方が楽だからという理由で単独行動を選んだが、Aも同じだろうか。




だがAも隠蔽スキル又は魔法を使っているとして、それは何故か。アレクは一応追われる身だからだが、Aもそうなのだろうか。それとも、単独行動をするとなれば他の冒険者に止められてしまうから、姿を隠しているという単純な理由なのだろうか。だとしても、そうまでして単独行動を選ぶのは何故なのだろう。





「……分からないな」




アレクはお手上げとばかりに腕を上げる。Aの目的は不明だが、現状では情報が少な過ぎて推測は不可能だ。



ただ、Aは少なくともアレクでさえ容易に見破れない隠蔽能力と、ここまで単独で進める程の実力を持っている。





……何だか既視感があるな。そう考えて、記憶を巡らせて___アレクは気付いた。





そうだ。この感覚は、クレイモンで“フェン”という冒険者に遭遇した時に感じたものと同じだ。




真逆彼もここに居るのだろうか。実力を考えれば確かに呼ばれてもおかしくはない。





………少し、警戒しておこう。




アレクは認識阻害マントに加え、更に隠蔽魔法を重ねがけする。



フェンが何者なのかはアレクは知らない。鑑定魔法でも詳しい経歴は見えなかった。彼が王宮側の人間____攻略対象である事は、ゲーム(原作)を知っているルミナにしか知り得ない事だ。




しかしアレクの勘___尚、主にルミナに関する事にはピカイチ___が警報を鳴らす。





もし、本当にフェンならば、いっその事ダンジョン攻略にかこつけて消してしまおうかな。





ルミナが居ないストレスもあって荒んでいるとはいえ、そんな風に考える位には、フェンを敵とみなしていた。


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