9 御神体
御神体が別にあり、そしてわざわざ代々守役を置いていたという事だ。
驚きの事実だ。
手持ち提灯を借り、穴の奥のに進むとぼんやりと光が見える。四隅に柱が打たれしめ縄が張られている。その中央部に鎮座する石が発行しているらしい。神々しいと言うより、何となく光苔を思わせるなと環は思った。
縄を潜り御神体を手で持ち上げる。
「これは!」
確かに鉄なのだが何か違う。鉄を纏った動物では無いのか?身を捩り、息吹が聞こえるような錯覚を受ける。
祠の鉄はこれの排泄物だと思った。
この御神体は剣になると直感でわかった。
御神体をもって行者の所に戻ると行者は息を引き取っていた。
(その役目を終え召されたのであろう・・・)
環は行者の御魂の平安を祈った。
背負子に御神体を乗せ背負うと、
ドドーン!ダン!ダン!
地揺るぎだ!大きい!
四つん這いになり壁に手をそえる出口へ這って行く。
(いかんこの穴崩れるぞ!)
ガガガゴ!
ガラッ!カラッ!ザッ!
ガザザザザザーー!!
奥が崩壊している音が聞こえる。生きた心地がしない。出口の光が見え飛び込むのと同時に穴は崩壊で埋まった。
環は恐ろしさで動けない。
(タタリか?)
ようやく動けるようになると土埃で真っ黒だった。
沢に行き身体と服を洗い木に服を干し、小枝を集めた。集めた小枝乾燥した草を上に置き火打石で火をつける。
火がついたところで焚き火を大きくしてゆく。
十分火がついた所で山の斜面に行き、行者が手を入れたのか整備された跡があったので、そこにきのこや山草が無いか探した。
木耳少しと、天狗の麦飯を少しだけ見つけた。
木耳をよく洗い薄い石を焚き火の上に置き、洗った木耳を置いた。
川の方に行き大きな石を取り、トロ場の上にある石に向かって投げ付ける。
腹を上にした鱒が1匹浮いてくる。
急いで川に入り魚を掴む。
すぐにエラを取り腹を裂く、血合も取り枝を口から突っ込み焚き火で炙る。
木耳と鱒を食べ空腹感はおさまった。
まだ少し湿気っているが構わず着込み、背負子を背負って家路を急いだ。
(さて、この御神体は楽しみだな。たっぷりあるので色々試してみるか)




