7 明暦の小天狗
1日2話アップします。
朝は8時10分
夕方17時20分です。
「明暦の頃、江戸で丁酉火事がありましたよね?」
「振袖火事だな?」
「で、その同じ日に戸隠に空から石が降ってきたんですよ。大穴が空いて大騒ぎだったときいてます」
「そうなのか?あぁそう言われると聞いた事があるな、はっきりした事は知らないが」
「天狗星のガキだから小天狗とか、明暦の小天狗とか言われてたんですけどねぇ」
「まぁ振袖火事と同じ日じゃな」
「そうそう、そりゃお江戸が半分燃えちまった話の方が大きいですから、信州に降った石程度じゃあね」
「天下のお江戸には勝てないな。空から石が降るって事は、他の国でも何度かあったそうだ」
「へぇーそうなんですね」
「それでそれからどうした?」
「その石は鉧と呼ばれ、そこに祠をつくり集めて置いたんでさ」
「鉧か!」
鉧からは鉄と鋼と銑が取れる。鉄と鋼は刀に使えるのだ。
「それでその石を祠に入れて幾らかたった頃から、そのあたりでは奇妙な生き物が見られるようになったって訳です」
「そこには入れないのか?」
「神域、禁区にはなってますけど出入りは出来ます。ただ気味が悪いんで近所のもんは近寄らないです。近づいた者は獣だろうと何だろうと、祟られてあんな体にされちゃいますからね。かなわねぇですよ。
五平に詳しく場所を聞き、そのままそこで寝た。
翌日は朝早くから出かけた。
湖の親戚の元に行き父のつかいを済ませた環は、引き留める親族を丁寧に断るとまっすぐ戸隠山に向かった。
藪漕ぎをしながら進む。
(あった!祠だ!)
ほぼ朽ちてある祠があった。
祠を開け中を見る。
(これか!?確かに鉧のようだ!)
環は思わぬ所で素材を手に入れた運を神に感謝した。
代わりに適当な大きさの石を祠に入れておく。
明暦の小天狗を背負子に乗せ、布を被せ回り道で人目に付かないように街道に出る。
結構重いのだが環は嬉しくて重さを感じない。
どうしようか?何を作ろうか?しばらくはじっくり考える事にした。
ーーーーーー
家に帰り部屋に隠して父の元に向かい報告をする。
労」れゆっくり休めと言われた。
すぐにでも試したい環は休まない事にする。
その旨を父に承諾を得に行った。
鍛治馬鹿の環の願いに父は苦笑いした。
休みにしたが鍛治場の使用を許可した。




