第一夜 開幕
ローファンタジー(戦国時代)×ハイファンタジー(異世界)のヒューマンドラマっぽい何か。
設定が設定なのでちょっと残酷表現もあるけどギャグ(当社比)もシリアスもあるよ!
時代設定を戦国時代にしているけど、専門家じゃないので変だなって思っても見逃してね!あくまでファンタジー!
タイトルは「しきをこう」と読みます。しきこいとでも呼んで下さい。
自分の好きを詰め込んでみました。結末は大体決まっているのでそこまで辿り着けるよう頑張りたいと思います。
忠正と維月の2人の物語、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
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あの日の出来事を、あの光景を、私は生涯忘れる事は出来ないのだろう
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時は戦国、都に程近い山陰道に属する丹波国の山中。暗がりの中、槍や刀、甲冑で武装した集団が集まり何事かを始めようとしている。空には美しい満月が登っているがそれに目を向けるものなど一人も居なかった。
その顔は皆、鬼気迫る様子でこれから始まる何かは決して穏やかではない事が感じ取れる。山の中は静かで虫の声すらしない。ふと、集団の前に立った老齢の男が朗々とした声で告げる。
「この村での惨劇は皆、見たであろう。田畑を荒らされ、家畜を殺され、挙げ句の果てには幼子の命まで奪われた。殺された者は誰も彼も酷い有り様であった。神畏たちはおかしな力を使うと言う。この惨劇も奴らの仕業に違いない。これ以上の暴虐を許してはならない。必ず、あの神畏どもを捕まえるのだ」
己らの頭領であり、育ての親でもある直秀の言葉に頷く。この村にもたらされた被害を思えば、その言葉は当然であった。
子を奪われた母の悲痛な叫びを思い出す。なぜあんな所業が出来るのか。きっと奴らには血など流れていないのだろう。握りしめた手は白くなっていた。
直秀の言葉を皮切りに策の確認をする者、刀や槍を確かめる者、甲冑を締め直すものと各々の準備へ取り掛かる。自身も用意をせんと動き出すと同時に首元に腕が回る。
「おぉーい、忠正。相変わらずの顰めっ面だなぁ。折角良い面をしているんだ。もうちっと愛想良くすれば良いものを。もったいねぇなぁ」
「明臣か。お前こそ、もう少し真面目にやれ」
「はぁー四角四面なこった。こういうのは所々、力を抜きながらやるのが秘訣ってね」
「何を馬鹿なことを。奴らを取り逃がす事になればこの村の惨劇が他でも起こされるのだぞ」
「へぇ、へぇ、分かってるよ。お前こそ無鉄砲なところがあるんだ気をつけな。俺ぁもう仲間が死ぬのは見たかねぇんだ」
そう言うと、明臣は首元に回していた腕を解いて歩き出す。傾いた外見と言動で誤解をされがちだが情に厚く仲間思いの奴なのだ。
すると虫の声すらしなかった山の方が俄に騒がしくなる。奴らが出たのだろうか。闇の中から声が上がる。
「いたぞ、神畏だ!」
「そっちへ行ったぞ、捕まえろ!」
暗闇の中から何かが飛び出す。月明かりに照らされたそれは人の形をしていた。その姿を認め、走り出す。後ろから明臣の制止する声が聞こえたが構わず走る。神畏の存在など許してはいけないのだ。
「っ!何でこんな所にっ!」
「観念しろ!化け物め!」
駆けながら叫ぶ。一刻も早く捕まえなければ。これ以上、誰も傷つけさせるものか。
「こっちに来るな!早く逃げろ!死にたいのか!」
逃げろ?逃げろと言ったのだろうか。何を可笑しな事を、自身の状況が理解出来ていないのだろうか哀れな事だ。
それともこちらを混乱させてその隙に逃げる算段か。
どちらにせよその手に乗るつもりはない。
駆ける足に力を込め、先程よりも速く走る。伸ばした手がその影に触れかけた瞬間、体を衝撃が襲い、木へと叩きつけられる。
私は一体、何に吹き飛ばされたのだ?
頭を振りながらすぐに体勢を立て直す。節々が痛むが、幸いに着ていた甲冑のおかげか骨は折れていないようだった。
ふと、自身の目前に影が差す。顔を上げると目前が黒でいっぱいになる。何かわからずに呆けていると、生暖かい空気が顔に流れてくる。
それは生き物の顔だった。
しかしこれは生き物と呼べるのだろうか。顔があるはずの部分はぐちゃぐちゃに塗りつぶされていて黒々としている。形は人のようなのだが、両腕が地面を引きずる程に長く、足はまるで獣の脚のように歪んでいた。
長い腕の先には鋭い爪が光り、あの爪で引き裂かれれば無事では済まないという恐怖を感じさせる。
なんだ、これは。こんなものは知らない。
「うわぁ!なんだこいつ!」
「逃げろ!!」
突然現れたそいつに騒然とし、蜘蛛の子を散らすように我先へ逃げ出して行く。
果敢にも立ち向かって行く者も居たが、それに見られた瞬間なす術もなく次々と倒れていった。
倒れた者たちの元へそいつが近づいて行く。
表情のわからぬはずのそれは嬉しそうに笑っている気がした。
止めなけばならないのに縫い止められたように体が動かない。
私はまた、ただ見ていることしかできないのか...!
鋭い爪のついた腕が倒れ伏す者たちに向かって伸ばされてゆく。
だがその腕が彼らに届くことはなかった。何かに引っ張られるように空中で止まったのだ。
「おい!!呆けていないで早く逃げろ!」
暗闇の中から声がする。その影響か動けなかった体に自由が戻って来る。動けない今が好機と捉え刀を抜き、そいつに向かって行く。長い腕を切り落とさんと渾身の力で刀を振り下ろす。
その刀は過たず肉を断ち、骨を断った。苦悶の声が上がり滅茶苦茶に暴れ出す。
化け物の鋭い爪が目前に迫るその瞬間、何かが腹の辺りに勢い良くぶつかる。
ごろごろと地面を転がり、宙を舞う感覚がした次の瞬間、どぼんと音がして息ができなくなる。
自身から立ち昇った気泡が月の光を反射しながら消えて行く。光に向かってもがいた腕は意味を成さず、視界は黒く覆われていく。
意識が闇に飲まれる寸前、何かがこちらに向かって手を伸ばすのが見えた。
次に目を覚ました時、目の前には見たこともない世界が広がっていた。
言い訳と頭の整理のため、たまに2,3文くらい何かしらここに書こうと思ってます。
本文には大抵関係ないので読み飛ばして大丈夫です。




