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ワン 23

 シャツもズボンもキャミソールも床に落ちる。残るは下着だけ。


「あ……さーや、それ……?」

「……似合う?」


 蒼が好きって言った赤のシルク素材の上下。ショーツはハーフバック。プレゼントが思い浮かばなくて買って身に着けた。


「似合う…綺麗だよ……さーや」


 蒼も下着一枚になる。


「あれ……蒼……」

「好きなんでしょ? さーや」


 ボクサーパンツを履いていた。私が好きだといったから履いているらしい。


 お互いがお互いのために身に着けた下着。なんだか気持ちまで同じようで想いが高まる。


「すぐ脱ぐことになるけどね」


 蒼が我慢できないとでもいうようにがばっと襲い掛かる。でも、優しくて。ひたすら、優しくて。蒼の手が、口が、愛撫する。私のことが好き、大好きっていう気持ちが染み込んでくる。


 私……すごく愛されてるのかもしれない。想いの深さに涙が零れた。


「え」

「……」



「さーや!? どうしたの? 痛かった?? 嫌だった???」

「……っ……違……」

「……さーや?」

「飽きられたくないよ……」

「……」

「蒼と離れたくないっ」

「……さーや」


 ぽろぽろと涙が零れる。募った想いも溢れ出る。


 私は蒼が好きだ。大好きだ。いつの間に、こんなに好きになっていたんだ。


「さーや……泣かないで」


 蒼が涙を唇で受け止める。くすぐったかったが嬉しさが勝った。蒼が頭を撫でてくる。撫でながら、自分の胸へ引き寄せた。


 熱いほどの蒼の胸。意外に硬くて大きい胸に手を置く。


 少し汗ばんでいる。ドキドキ、と心臓が気持ちを表していた。


「沙彩」


 さーや、じゃなく“沙彩”。振動で出たテノールに私の胸は高鳴った。


「付き合お」


 涙が止まらない。涙が、私の気持ちを知ってる。もう、嘘でも“好きじゃない”だとか“飽きてもらう”だとか言えない。もう、自分の気持ちを偽れない。


「うん。……私も蒼が好き」

「……。もう一回言って」

「蒼が好き」

「……っ……さーや!」


 その後は蒼に押し倒されて、愛されて。蒼の気持ちと蒼の存在を感じながら、想いを確かめた。



 幸せ過ぎた。蒼からの愛に無我夢中で。蒼の愛は沼のようで、踏み入れたらもう絡め取られて溺れるだけ。そのうち蒼なしじゃ生きられなくなるんじゃと不安になった。


 やっぱり距離感は大事だ。改めて、これからの距離を考え直さなければ。


 カーテンの隙間から光が差し込んでいる。光が蒼の顔を照らす。綺麗な顔。陶器みたいな肌に触れようと手が勝手に伸びていることに気が付いてハッとした。


 ダメだ。距離感!



 ベッドから出る。落ちている赤い下着を身に着けて、ベッドから離れようとしたら。


「っきゃ……!」


 手を引かれ、バランスを崩してベッドに沈む。視界に移るのはまだ眠そうな蒼。寝ぐせで髪が跳ねている。


「どこ行くの」

「蒼の知らないところ」

「……。まだそんなこと言うんだね。もっとこの体に刻み込まないと分からないかな」


 私の顔にかかっている髪の毛を蒼が払う。愛おしそうに撫でる。


「……私は自分を保つために距離感も必要だと」

「すぐ距離を取ろうとする。やっとなくなったのに何言ってるの?」

「私はこれ以上ハマったら自分が自分でなくなるのが怖い」

「“俺”の愛が深くて怖い?」

「……」


 親指で私の唇をなぞる。体がぞわぞわする。


「さーやの無意識に俺のことが大好きなとこ好き」

「……」


 ちゅ、と音を鳴らしながらキスを落とした。大きな黒目が私を射る。


「ハマって。俺なしじゃ生きられないくらい」

「やだ。困る」

「じゃあハマらせる。蒼が欲しいって言わせる」

「変態」

「さーや、今日立てなくなること覚悟してね」


 蒼に溺れた。昨日よりも激しくて、本当に立てるようになるまで時間がかかった。


 変態め! 性欲お化け!!



 痛む腰を抑えながら私はある場所に向かっていた。なぜかというと…


「いい? さーや! お互いに終わらせる相手がいるよね? 相手に会ってこよ。そのあと報告会ね」

「じゃあ、終わったら蒼の部屋に戻ってくるね」

「うん」

「……」

「……。さーや?」

「……巨乳パワーに負けないでよ」

「……。さーやの美乳に敵なし! 嫉妬さーやも最高!!」

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