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雨の神は名づけの巫女を恋ひ求める  作者: 遠野まさみ
名づけの巫女

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名づけの巫女(8)



「うああああっ!」


「ミツハさま!」


「ミツハさま、どうされたのです!?」


水宮に居たミツハは、頭に直接響くヤマツミの声に苦しそうにのたうち回った。


正式な契約を結ばずに雨を呼ぼうとしているその凶行に、意識は立ち向かおうとしているが、体が鱗の絆を求めて反応してしまう。その場で龍化しつつある自身を危険と感じ、ミツハは宮を飛び出て雲を飛び降りた。


操られる苦しさから、ミツハと共に現れた黒々とした雲の間に稲妻が走る。うねる体に合わせていかずちが何度も地上に落ちた。


(新菜……、新菜は何処に。私を呼んでくれると、約束したではないか。何故、ヤマツミの声が……)


かすれ行く意識の中で、それでも新菜を探そうとミツハは天を舞う。しかし鱗珠から感じる鈴花とヤマツミの気配に、鱗珠は新菜の手元にないと考え、地上をやみくもに探すが、見つからない。せめて、この雲の様子に自分を呼んでくれれば、とミツハは思う。


(新菜、どこに……。私を呼んでくれ……)





そのころの水宮。


「ミツハさまは下界に行かれましたね? 呼ばれたにしては、様子がおかしかったです」


「お苦しみのご様子だった。あのまま地上に降りては、地を荒らしてしまう。新菜殿の唄で何とかならんだろうか」


チコも切羽詰まった様子で鯉黒に尋ねる。


「新菜さまは今どこにいらっしゃるのか、分かりませんか、鯉黒。荒魂になってしまっては新菜さまのお声も届かなくなる。そうなる前に、新菜さまに唄って頂ければ、あるいは……」


「奥の池から探してみよう。新菜殿に繋がるのは、癒してもらったこの傷だけか……」


言うと鯉黒は庭の奥の池を覗き込んだ。水面に映る鯉黒の首に微かに残る傷の跡を指で手繰れば、水に映った自身の傷の跡が淡く光る。恨みをもって池を覗いていた時と同様、今度はその消えた跡の所以を輝くその光が癒された絆を手繰って新菜を探し始める。水面には御殿が映り、新菜ともう一人の少女が帝の前で額づいている。その後新菜は御殿を離れ、街の中心からはずれた山すそにある庵に入った。新菜が井戸の傍でナキサワと対面した様子も映っている。その後新菜は、出ようとするも、その庵から出られなくなった様子だった。


「これは、ナキサワ殿の術か」


鯉黒は井戸に暮らしたことはないが、真水であるなら行ける。鯉黒はその井戸を水面に映したまま、池に飛び込んだ。


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