表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨の神は名づけの巫女を恋ひ求める  作者: 遠野まさみ
名づけの巫女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/75

名づけの巫女(6)

「それでも私は……、ミツハさまをお慕いしております……。ナキサワさまが契約を結ぶには相手には不向きかと……」


俯く新菜に小さなため息が聞こえた。


「君は何故あれほどミツハさまが君に執着するか、理由が分かるかい?」


理由……。慈悲という以外の何があるのだろうか。


「我々にとって名は存在そのもの、つまり命だ。命を与えたという事は、命を握られているという事。君の力ならその命を消すくらい容易いだろう。それ故、ミツハさまは君を手元に置いておきたいと思ったんだ。君が思う恋情とは程遠い。ミツハさまのことは忘れるべきだ。それにね」


それに、そんな力を宿す君を、ミツハさまの所へは行かせられないんだよ。僕たちの水が枯渇してしまうからね。


ナキサワが辛そうに言う。


「だって、もともとは僕もヤマツミさまも、ミツハさまの雨に依存している。そんな主が脅されているのを、僕たちは黙って見過ごすわけにはいかないんだよ。だからここに居てくれ。君が姿を見せなければ、ミツハさまはご自分を脅かさない鈴花に名を教えて下さるかもしれない。君の力が強すぎたのが、悪かったんだ」


パリっと音がすると、庵の周りに透明な壁が現れた。ナキサワは新菜の首元を手繰って言う。


鱗珠これは、君がミツハさまを諦めた印として預かっていくよ。これをお返しすれば、ミツハさまも分かってくださる。君は新しい恋を見つけるんだ。例えば僕でも良い。人の郷に紛れて誰かと想い合うのでも良い。けど、ミツハさまは駄目だ。君がその力を持つ限り、ミツハさまは諦めるんだ」


ミツハに対してそんな力を揮うつもりはなかった。しかし力そのものが脅威だと言われてしまえば頷くしかない。それでも。


「ミツハさまご自身から正しく巫女を選んで頂ければ、私はそれで身を引くつもりでした」


たとえそれが鈴花であろうとも、ミツハが決めたことなら、新菜には受け入れることしか出来ないのだから。


自分の気持ち云々はこの際いい。ミツハさえ疑念が持たれなければ、それで良いのだ。


その為の、巫女選びをして欲しい。そう思っている。


「その言葉、正しくミツハさまにお伝えしよう」


ナキサワが姿を消して去る。新菜は庵に閉じ込められて、出られなくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ