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雨の神は名づけの巫女を恋ひ求める  作者: 遠野まさみ
贄の娘

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贄の娘(1)


シャン、シャン、シャン。


神楽鈴の鳴る音がする。


シャン、シャン、シャン。


五色布が巫女舞につられてゆらりと翻る。


シャン、シャン、シャン。


神に乞ひむ祝詞が途切れる。


シャン――――。





巫女は神楽鈴を自分の前に置き、板張りの床に額を擦りつけると、天帝に向かって恭しく口上を述べる。


「天帝陛下に置かれましては、我が国、民への恩情、まことに厚く」


鈴を鳴らすような声で巫女が紡ぐ言葉を、重厚な細工の椅子に座った天帝が遮る。


「それで、どうだったのだ。今年の雨は潤沢か」


わずかに椅子から身を乗り出している天帝の言葉に、巫女がびくりと肩を震わせる。


「そ……、それは……」


「また、お声を賜れなかったか」


重苦しい声に、巫女はひれ伏して、申し訳ございません、と謝罪した。それに対し、舞宮に降臨していたすえの神である堤の神・ヤマツミや井戸の神・ナキサワは、巫女を庇った。


「そやつのいう事など聞かんでも良いぞ、我が巫女姫・鈴花。おぬしは儂の声を聞いた。それだけでも地の民を潤すことが出来よう」


「そうだぞ、鈴花。俺もお前の願いに応じて、俺の守る井戸の水が地の民に滞ることなく潤沢に流すと約束しよう」


ただ、ヤマツミやナキサワの声に、天帝は反応を示さない。神の声は宮巫女のみが聞くことが出来る声なのだ。巫女は神々にこうべを垂れ、ありがとう存じます、と謝意を伝えた。その様子を見た天帝が、そこに居る存在に気を遣い、巫女に声を掛ける。


「堤の神、井戸の神のご協力を賜れるから良いようなものの、田畑に肝心の、天雨神さまのお声が賜れないのでは、一年一年の見通し、そして今後の見通しが立たぬで困る。おぬしは良く修練するように」


「はっ、はい! それは、もちろ」


それは勿論でございます、と言い終わらないうちに、天帝は巫女に興味を亡くし、もう下がってよい、と横柄に告げた。




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