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36.Rs  作者: 川之一
10/13

10. 増員


 ダラメットが部屋を出てから、十五後。



 ──パリンッ‼︎



 下の階から大きな物が割れたような音が聞こえた。

『……』

聞こえなかったことにしようと思い、眉間に皺を寄せながら再び資料に目を向ける。

〈さてと……〉

ザンツィルがスールイティ団から脱退してしまうとなると、一人減員してしまうことになる。ダラメットも戻ってこなければ、自分はスールイティ団の団員を増員する為に再び各地方の都市へ行き、勧誘をしにいかなければならない。団員の話を聞くと、スールイティ団に入りたいと懇願してくる盗賊は多いらしい。盗賊ならば盗む腕もいい筈だ。懇願している盗賊達をスールイティ団に入団させれば一気に団員を増員できるだろう。


 だが、自分の命を狙う他の盗賊団からの暗殺者も入れてしまう危険性がある。それを避ける為、増員をする時は必ず自分が勧誘を行う。


 記憶力がいいダラメット、36番の番力が使えて盗む腕もよかったザンツィル……きちんと任務をこなしていた二人がいなくなる。二人と同等の能力を持つ人物は他にいるのだろうか。

〈……今回は俺が悪かったかな。ザンツィルには言い過ぎたかもしれない。考え方を変えるってそんなに簡単なことじゃないよね〉

再び小さなため息をついた。一階に行って二人の様子を見に行こうと思い、座っていたイスから立ち上がる。


 ──コンコン


 『?』

誰かがドアをノックしているようだ。ダラメットがザンツィルを呼び戻してくれたのだろうか。

『どうぞ』


 ──ガチャ


 『失礼します。リーダー、ダラメットから手紙を預かりました。リーダーに渡してほしいと』

そう言うと、団員は一枚の紙を手渡してきた。殴り書きの文字だが何とか読めそうだ。


 ──"ザン兄ついて行く、壺は俺違う、ザン犯人"


 壺……? 先程の大きな物が割れたような音は壺だったようだ。まさか、一階にある高価な壺を割ってしまったのだろうか。最後にザン犯人と書かれているので、誰が壺を割ったかは分かる。

『まぁ、ついて行くだろうとは思っていたけど……壺を割ったのはザンツィルだな、全く』


 やはり、ザンツィルは戻ってこないようだ。ダラメットもザンツィルについていくので戻ってこないだろう。自分は明日にでも勧誘をしに行かなければ……。準備をして明日の午前中に出発しよう。


 窓から外を見つめる。駐車場にザンツィルとダラメットの姿はなかった。


 『さて、どうなるやらだな』




 ──翌日。



 〈……〉

昨日の夢を見ていたようだ。


 ──コンコン!


 また誰かがドアをノックしている。

「どうぞー」

顔色が真っ青なアネアが慌てて部屋に入ってきた。何かあったのかと思い、驚いた表情でアネアを見る。

「どうした?」

「リーダー……また勧誘をしに行く話は本当ですか?」

「うん、ダラメットとザンツィルが抜けちゃったからね。任務を安定的に遂行する為にも、増員はした方がいいかなって」


 何故かアネアは困惑した表情でこちらを見ている。


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