いつかの恋が忘れられなくて…
さようなら。
そう言って今日、彼と別れた。
これで、何人目なんだろう。
もう、どのくらいの人と付き合ったかわからない。
忘れたくて。
忘れられなくて。
彼のことが忘れられなくて。
初めてできた恋人のことが、忘れられなくて。
彼のことを忘れるために、たくさんの男の人と付き合って。
たくさんの男の人とキスして。
たくさんの男の人と身体を重ねて。
それでも忘れられない、彼のこと。
別れたくなんてなかった。
別れるしかなかった。
高校の頃。
彼は父親の仕事の都合で、遠くの県に引っ越さないといけなくなって。
高校生に『遠距離恋愛』なんて現実的じゃないから。
彼が泣きながら、さようならとごめんを言った。
彼が泣くから私は泣けなくて。
幸せになれよ、バーカ!
そう言って、彼とはさよならした。
そしてその日、私はお家でひとり、朝が来るまで泣いた。
彼が引っ越した後。
周りに『ビッチ』って噂されるほど、男の人を取っ替え引っ替えした。
それでも。
どんな男の人と付き合っても。
どんな男の人と寝ても。
大人になっても。
初めての恋人の彼を。
君のことがどうしても忘れられなくて───
ふと、大空を見上げる。
何処までも繋がる大空。
大空を見上げながら、君のことを想う。
───君は今、幸せでしょうか?私は…
パタパタとした足音が、こちらに向かってくる。
ごめん、遅れたと、汗だくになりながら言う彼。
汗だくの彼に抱きつき、彼の唇にキスする。
───君は今、幸せでしょうか?私は…
君とまた一緒に居られて、とても幸せです………