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友達との昼食

 授業中の10分より休憩時間の10分が妙に短く感じるのは何故だろうか。

 マリネスと友達になりたいシエラは休憩時間の終わりを告げる鐘の音に深くため息を吐くと「またあとでね」と手を振り、渋々自分の席へと戻っていった。

 マリネスは小説を胸に抱きシエラの後ろ姿に小さく手を振る。

 

 授業後の短い休憩時間に足しげく押し掛けるのは迷惑だろうかと考えたシエラは、お昼の長い休み時間までマリネスの席に行くのを我慢していた。


 そしてお待ちかねの昼休み、シエラは休憩の鐘の音と同時に席を立った。


「今日も一緒に昼食を食べるかい?」


「ううん。今日は……友達と一緒にお昼にするよパパ」


 授業の片付けをしていたリチャードの傍によるとそう言われたので、首を横に振ってシエラは答えるとマリネスの席まで駆けて行った。

 リチャードはその後ろ姿に娘の成長と少しの寂しさを同時に感じるが、顔には微笑みが浮かんだ。

 少しづつだが確実に自立しよう、成長しようという姿に嬉しくなったのだ。


 いつかシエラも好きになった人を連れてくるのだろうか……自分がどんな顔をするか全くわからんな。


 そんな事を思いながらシエラの行く先を目で追うと、最後列の窓際に座るマリネス・ツー・セルグと何やら話しているのを見て「流石にまだ恋人やらは考えすぎか」と自嘲気味に笑い、資料を片付け、リチャードは食事の為に食堂へと向かった。


 そして娘のシエラだが、シエラはマリネスが普段一人で昼食を食べていると聞き「じゃあ今日から二人で食べよう」と提案するとマリネスの手を引き食堂へと向かった。


「よう、シュタイナー。珍しいな、先生と食堂行かないのか?」


 食堂に向かう廊下の途中、シエラに声を掛けたのはリグスとナースリーの幼馴染コンビだった。

 というよりも同学年でシエラに気楽に声を掛けるのはこの二人くらいのものだったりする。

 

「シエラちゃん、そっちの子はどちら様?」


「ん。俺のクラスメイト、新しい友達だよ」


「あ、あ、あの。マリネス・ツー・セルグと言います……シエラさんの、お、おお友達、です」


「お前……俺たち以外に友達いたのか」


 割と本気で驚いているのだろう、リグスが目を丸くしている。

 そんなリグスの後頭部をナースリーが「ちょっと! 失礼すぎでしょ!」と持っていた魔法使い用の木の杖で一撃。

 リグスは頭を抱えてしゃがみ込むことになった。


「イッタあ!! おいナズ、頭はダメだろ⁉」


「シエラちゃんに失礼なこと言ったリグが悪いんだよ?」


「あ、あのシエラさん。このお二人は?」


 騒がしい二人から隠れるようにしてマリネスが消え入るそうなほどか細い声でシエラに聞いた。

 その問いにシエラは二人を見て「私の友達」と無い胸を張って答え微笑む。

 

「リ、リグス・ベルだ、よろしく……ああ。イテェ」


「わたしはナースリー。ナースリー・エルフェルム、よろしくねぇ。

 あ、呼びにくかったらナズって呼んでもいいよ?」


 後頭部をさすりながら立ち上がったリグスと制裁を加えてご満悦のナースリーがシエラの後ろに隠れているマリネスに自己紹介すると、二人が何やら考えるように首を傾げる。

 何か忘れているような? なんだっけ? と顔を見合わせるリグスとナースリー。


「あ! 飯だよ飯! 早く行こうぜ、ナズ。デザート無くなっちまう。

 お前らも食堂行くんだろ? 一緒に行こうぜ」


「ん。行こう。友達との食事って初めて、楽しみ。 

 マリネスもそれでいい?」


「う、うん。大丈夫だよ」


 こうして4人は連れ添って食堂を目指すことに。

 美少女3人と一緒に歩くリグスが他の男子生徒のみならず、シエラのファンの女生徒からも敵視され、羨まれるのはまた別の話。

 

 食堂に着いた四人はそれぞれ昼食を係りの職員に頼み、受け取ると空いている席に座って食事を始めた。

 食事の作法に差が出るのは仕方のない事だが、それでも4人はそれぞれの食事に舌鼓を打つ。

 しかし、シエラはどこか不満そうだ。


「パパのご飯の方がおいしい」


「いや、学食に何求めてんだよ」


「シエラちゃん、先生の事普段パパって呼んでるんだねえ」


「ん。今日からパパって呼ぶようにした」


「私も家ではパパ、ママって呼んでるからお揃いだねえ」


「ん。お揃い」


 生徒たちのみならず教師も利用し、賑わう食堂。

 この場所は今日も大盛況、そんな場所でシエラは今日から受けるミニクエストの件について話を切り出した

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