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初めての模擬戦

 子供の頃から筋力を鍛え過ぎると成長を阻害する恐れがあると聞いた事があるリチャードは、適度に休日を挟みながらシエラとギルドに通った。


 毎日とは言わないがかなりの頻度で通っているので、リチャードに連れ添っているシエラもギルドの職員や冒険者達に顔を覚えられ、数日もすると「こんにちはシエラちゃん」と声を掛けられるようにもなった。


 親子二人がギルドに来ない日などは「今日はシエラちゃん来てないのかあ」と職員や冒険者が残念そうに言うくらいには関係は良好だ。

 

 それもシエラがちゃんとリチャードの言いつけを守り挨拶をされたらちゃんと「ん。こんにちは」と皆に挨拶を返していたからに他ならない。


 そうして数週間、ギルドに通う日々を送っていると、頃合いと見たか、リチャードが家を出る際に木剣では無く本身の剣とライフルをシエラに渡した。


「ふむ、良い筋肉の付き方をしてきたな。

 靭やかでいて強靭とはまだ程遠いが、このまま鍛えれば女性らしさは損なわずに力も付くだろう」


「くすぐったいよリチャード」


「ああすまない、しかし肉付きは触らないと解らん事もあるのでね」


「なら、我慢する」


 武器を渡した後、シエラの二の腕や腹、太もも、ふくらはぎを触りながらリチャードは言い、筋肉の付き具合いを見終わるとシエラの頭にポンと手を置き「今日から本格的に始めるぞ」と微笑むとシエラと共に今日もギルドに向かっていく。


「これ格好良い」


「気に入ってくれたかい? それなら良かった」

 

 家を出る前に剣と共にリチャードは剣を腰に携える為のベルトをシエラにプレゼントしていた。

 そのベルトを腰に巻き、シエラはご満悦だ。


 ライフルにはベルトが付属しているのでそれは肩に掛けてシエラはギルドへ向けて歩いている。

 重量は木剣の比ではないが、日頃のトレーニングがちゃんと身についているのだろう。

 シエラは汗一つかくことなくギルドまでの道を歩ききった。


「体力も随分付いたなこれだけでも十分入学試験は問題無い気はするな」


「ん。でもせっかくなら俺は上を目指したい」


「うむ、最終目標は高くて良い、だがまずは――」


「小さな事からコツコツと」


「そう、目標までの目標を少しずつクリアしていくんだ。

 そうすればいつかは最終目標に辿り着く」


「ん。俺、頑張るよ」


 ギルドに到着し、鍛錬場に向かうと、今日は先客がいた。 

 若い冒険者達数名が鍛錬場の中央で模擬戦をしているので、リチャードとシエラはその様子を観戦することにした。


「シエラ、よく見ていなさい。自分ならどうするか考えるんだ」


「ん。見てる」


 しばらくして模擬戦を終えた若い冒険者達が休憩の為に壁際に移動したので「よし、行こうか」とリチャードはシエラを連れて鍛錬場の中央へと移動し、リチャードは木剣と盾を、シエラは剣とマギアライフルを抜いた。


 その様子を見ていた若い冒険者はシエラの武器の組み合わせに「剣と銃? 子供が?」と苦笑しているがその苦笑は直ぐに引きつる事になる。


「さあシエラ。遠慮は無用だ、今まで教えてきた事を私にぶつけなさい」


「ん。怪我しないでね」


「問題は無いよ、多分ね」

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