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3.【社畜の一日】

 そして、午後八時になってから仕事が終わり、眞鍋と馬路は退勤を押して帰宅する。

 昼間の話を再開したいところではあるが、巷で話題のコロナの影響でこの時間の飲食店は閉まっている為、アルコールを片手に世間話を出来る環境にはない。

 では、どうするかと云うと自宅のパソコンやスマートフォンなどでメールのやり取りをするだけである。

 それまでは咳払いの一つも出来ないのが、2021年現在の状況である。

 馬路と駅で別れた後程、眞鍋は帰宅すると風呂に入り、帰り道のコンビニで購入した弁当を食べてから馬路の連絡先に『帰宅したぞ』とメッセージを飛ばす。

 しばらくすると眞鍋のスマートフォンが振動し、通知音が響く。


『こっちも帰宅なう』

『結局、どうする?』

『わからん』

『解らんで済ませるな』

『仕方ないだろう。本当にどうすれば良いかなんて、わからないんだからな』


 お互いに次の日に仕事終わりで疲れている為か最小限の文字数で打ち込み、淡々と秒で返す。

 そんなやり取りをしながら、眞鍋はどうするか悩んでいる馬路の短い文を見て、それもそうかと納得する。

 付き合う付き合わない以前に悪戯かどうかさえもわからないのだから、次の行動に移せる訳もない。

 ならば、どうするかとなれば、次の行動を待つしかない。


『とりあえず、次の行動を待つしかないな』

『まあ、そうなるだろうな』

『それじゃあ、この件はとりあえず、ここまでにしよう』

『おk』


 そこで眞鍋は馬路とのやり取りを中断するとスマートフォンでニュースを眺め、ある程度、情報を集めてから布団を敷いて横になる。

 馬路と違い、眞鍋のする事と云えば、ネットのオンラインゲームなどではなく、自分の好きな歌手の曲を聴きながらネットサーフィンをする事である。

 眞鍋はそのルーティンをこなした後に眠りにつく。


 馬路のようなネットの付き合いもなく、確実に孤立しているのが、眞鍋である。

 しかし、眞鍋のような若者は珍しくはなく、近年、若者の孤独死が増えてきたのもまた事実である。

 眞鍋は典型的な孤立タイプなのであるだけで珍しい事ではない。


 翌朝、スマートフォンのアラームが鳴ると同時に眞鍋は起きて洗顔と歯磨きをし、髭を剃ってから会社用のスーツに着替える。

 朝食はカロリーメイトなどのシリアルバーとインスタントコーヒーで軽く済ませ、駅に移動後に甘い菓子パンで足りない血糖値を上げる為に間食し、電車で会社へと通勤する。

 眞鍋が会社へ到着するのは会社の朝礼が開始される二十分ほど前である事が多い。

 その間にトイレなどを済ませ、作業準備をして置く。

 余った時間で気持ちを切り替え、仕事に入る。


 これが社畜である眞鍋の基本的な一日のはじまりである。


 一方、馬路は深夜までパソコンのオンラインゲームをしてから就寝し、時間ギリギリまで寝てから起床する。

 そして、スーツに着替えて家を出るとコンビニのおにぎりなどを購入し、会社で身支度を済ませる。


 ルーティンは多少、異なるが、二人に共通するのはどちらも仕事に対して抜かりがない事である。

 逆に考えれば、こんな二人に何故、昇進の話が来ないかの方が不思議であるが、そこが二人が働く会社の闇なのだろう。


 もっとも、この物語については然程、関係のない話なのではあるのだが。

 こうして、二人は各々、仕事の準備を済ませてから他の社員と共に会社の朝礼に参加するのである。

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