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1.【疑いつつも考察】

 仕事の休憩の残り時間中、眞鍋は馬路と一緒に「さて、どうしたものか?」と悩んでいた。

 恋愛について、自分達はあまりにも程遠い人生を送ってきた。

 そんな二人にとって、恋愛の話などはあくまでも他人事であり、上の空の話であった。

 それが突然、我が身にやって来たとなったのだから悩んでしまう。


(そもそも、告白して来た久美原って娘は本気なのだろうか?

 なんらかの罰ゲームとかじゃないのだろうな?

 可能性的にはあり得るし、その線でも調べてみるか・・・)


 根本的な理由から眞鍋は考えつつ、馬路の相談について悩む。

 悪戯や罰ゲームの可能性の方が高いが、万が一にも久美原が本気だった場合、馬路と付き合う事になるかも知れない。

 そうなったら、馬路はキチンと彼女を大事に出来るであろうかと想像する。


 恋愛としても継続は難しいだろう。一時の感情に流されて恋愛したとしても社畜の馬路は最終的に仕事を取る筈である。

 なので、眞鍋は仮に二人が付き合う事になった時についても考える。

 浮気されず、恋愛として長続きし、馬路も久美原も幸福になる方法を・・・。

 本当に想定していたよりも難問だと思いつつ、眞鍋は馬路に質問した。


「なあ、馬路。継続的に付き合うのと一瞬の情熱的な恋・・・お前ならどっちを選ぶ?」

「なんだよ、急に?」

「色々可能性を考えるのはお互いに得意だろう?

 過程はどうあれ、結果的に継続出来そうだと思うか?」

「そうだな。長続きはさせたいが、俺の性格だと難しいんじゃないか?

 金を落とす事は出来ても、家庭より仕事を選ぶだろうしな?」

「ああ。やっぱり、そうなるよな?」


 馬路の言葉に眞鍋は納得しながら自販機で缶コーヒーの無糖を買い、会社の前で一息吐く。

 当然と言えば、当然の選択である。

 そもそも、仕事以外の選択をしているのであれば、当の昔に恋が成就していても可笑しくはないだろう。

 そうならなずにこの歳まで独身で来てしまったのは社畜として我が身を惜しまず、社会に貢献して来たからである。

 つまり、眞鍋も馬路も社畜以外の在り方など考えた事がないのである。


「他に考えられるとしたら、アレか?」

「アレ?アレって何だ?」

「いや、会社から離れている時間って云ったら、やっぱり、趣味の時間しかないだろう?」

「ああ。成る程な。お前の趣味ってオンラインゲームだったっけ?」

「まあな。MMORPGのゲームで交流なら可能性はなくもないな。ただ、オフ会やフェスに参加している訳じゃないから、身バレはしてないと思うんだが・・・」

「馬路がそう思っているだけで実際はバレているんじゃないか?」

「そうなのか?」

「いや、そこまでは知らんが可能性はなくもないだろう?」


 二人は可能性のありそうな久美原との関係を推測しながら、なにから着手すべきかを改めて考え込む。

 自分達には難しい案件だと思いつつ、それでも達成の為に出来ないややれないと言わない辺り、二人は典型的な社畜根性が根付いてしまっているのであろう。

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