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プロローグ~或いはある冬の日の会話~

「はぁ……学院……ですか?」


「ええそうよ。学院、魔剣士学院に通ってもらおうと思うの」


「レオノーラさんにはお世話になってますし通えと言うなら通いますけど……」


「今更何を学ぶのかって顔ね?確かに貴方が授業で学ぶ事はそう多くないかもしれないわ。でもね、私は貴方に授業以外から学べる事を学んでほしいの」


「授業……以外から……学べる事?」


「そうよ。人間関係……友情とか恋とか青春だとか。あとは同年代の子達の『普通』とか」


「はぁ……まあ確かによく分からない事ではありますね。縁遠いものでしたから」


「今のままだと貴方、つまらない人間になってつまらない人生を送る事になると思うのよね」


「レオノーラさんのお陰で今結構幸せだと思いますけど」


「あら、嬉しい事言ってくれるわね。でも私は貴方にもっと色々な事を知って、もっと色々な楽しみや幸せを見つけてほしいと思ってるの。貴方は今まで本当に狭い世界の中だけで生きてきたから」


「なるほど。レオノーラさんの考えはよく分かりました。有難うございます。血の繋がりも何もない自分のことをここまで思ってくださって本当に感謝しています」


「いいのよ。私が好きでやってる事だから」


「それでも、です。誰にでも出来るような事じゃないと思いますから。それで、一体何処の学院に通えば良いんですか?」


「あら?私が何処に入学してほしいか言えばそこに入ってくれるの?勿論入学試験は受けて貰うのよ?」


「ええ、まあ。特に何処の学院にいきたいとかもないですし、面接に重点の置かれた試験でも無ければなんとでもなりますから。というか分かって言ってますよね?」


「ふふっ。なんのことかしら。そうね、貴方にはアウクラム魔剣士学院に通って貰うわ」


「アウクラム?五大名門で唯一の国立の?確か最近は落ち目とか言われてた筈ですけど……なんでまたそこへ?」


「あら?よく知ってるわね」


「昨日丁度テレビで五大名門についての特番やってましたんで。レオノーラさんはお仕事中でしたけど」


「ああ、そういうことね。それで、貴方にアウクラム魔剣士学院に通って貰いたい理由なんだけど、私春からそこの理事長になるのよ。貴方が何から何まで面倒見てあげなきゃいけないお子様じゃないって分かってはいるけれど、やっぱり心配なのよね。出来るだけ目の届きやすいところにいてほしいの」


「そういう事なら分かりました。そこへ通います。出願とかはまだ間に合いますよね?」


「昨日が最終日だったわ」


「……………は?」


「ふふっ。貴方がそんなに驚いた顔するなんて、珍しいものを見られたわ。大丈夫よ。実はもう私が済ませてあるの。貴方は入学試験の日に指定された会場に行って試験を受けて来るだけでいいのよ。それ以外の事は私がやっといてあげる」


「……レオノーラさんにはかないません」

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