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高校生二人がいちゃいちゃする話  作者: 上総勇
第一章 長い長いプロローグ
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サクっと始まっていくぅ

 学年最後の日でもあるのに、いや、最後の日であるからこそか、この様子。クラス内がうるさすぎる。

 春休み前、修了式。この後部活がダルいという人もいれば、来週どっかに遊びに行く予定を立てる人も、周りに家族旅行の計画を自慢する日もいて、まさにカオス。少し耳を澄ませば、他愛のないいろんな会話が聞こえてくる。


 朝のホームルームが終わり、これから修了式をすべく体育館へ向かうときに、そんな会話を聞きながら、足立勇太はため息をついた。


 春休みなんて、宿題とゲームしかやることがない。そもそも春休みに宿題とかいらないと思います。だって学年変わるんだよ?

 だが、そんな生活も俺の頑張り次第で今日で終わらせることができる。と、いいなぁ……。


 俺には、好きな人がいる。まぁ、簡単に言うと、今日告白する。そうすれば夢のリア充生活スタート。

 ここ、私立幕張学園は、俺らが中二の時にに就任したばかりの新理事長による意味不明かつ抵抗不可能な特殊な校風があり、その中の、生徒の学園内の自由に関するルールの中に、屋上の常時開放がある。だから、その……屋上に呼びました……。


 自分で言うのはおかしいが、俺はクラス内ではカースト中位といったところ。ゲーマーな俺があまりひっそりとせず周りと連携のとれた学校生活を送れているのは、俺自身のコミュ力が高いから。そのおかげで生徒会選挙にも当選できたわけだし。


 そして相手であるが、相手のカーストは上位。中一の時にクラスと部活が一緒だったので、そこそこ顔を合わせているし、部内ではかなり長い時間を一緒に過ごしている。そしてそんな彼女は誰にでも優しく接してくれ、その上成績も常にほぼ一位という、もはや女神たる存在。


 今までアタックしてきた男子(たまに女子)たちは全員玉砕したそうだし、俺もたぶん無理。あの時は平和だった……。あのクラスにいさかいなんて一度もなかった……。ほかの女子に妬まれてもおかしくないだろうに。さすが女神。


「これで、令和元年度、修了式を終わります。気を付け、礼。三年生から順に、先生の指示にしたがって教室に戻りましょう」


 ボーっとそんなことを考えてしていたら修了式が終わってしまった。

 舞台袖に戻っていく校長と入れ替わりに、なぜかいつも学校にいる理事長が来る。

 そしてマイクを司会の生徒会役員から受け取ると、

「ちょっと、今と来年度の生徒会メンバー全員来て」

 そういえば思い出した。俺は次期生徒会どころか、次期生徒会長だった。これから引き継ぎの軽い説明があるんだった。ま、すぐ終わるでしょ。




「はい。一年生はこれでおわり。春休みもちゃんと出された宿題をするように。でないと来月俺から罵声が飛ぶかもな。まあ、掃除はいっか。はいじゃ日直挨拶」


 そして放課後。特に何事もなく教室に戻った俺は、担任からありがたいお言葉を受け、嫌ーな宿題もするように釘を刺され、教室を出た。


 二階にある一年生の教室から、屋上に相当する五階へ。階段を上りつつ、こんな思いがよぎる。


「果たして誰もいないのか……」


 小声でそう言ったところで、何も変わらないのだが。彼女にメールを送ったとき、なんとなく屋上を指定したが、常に解放されている屋上に、誰もいないとは限らない。

 いやでも、さすがにみんな帰るでしょ……そんな期待を胸に、気付けば目の前までせまっていた屋上の扉を開ける。


「お……」


 軽く見渡した限りでは誰もいない。いや、そんな感じがするだけで一人いるのだが。


「やあ、待ってました。勇太くん」


「おぅ……」


 そこにいたのは西条真好。成績優秀で、容姿端麗。人付き合いもいい、まさしく女神。


「どうしたの?そんなに君付けで呼ばれたかった?」


「いや、そういうことではなくて、というかむしろ逆だな。呼び捨ての方が親近感湧くし」


 真好は基本的に人を呼び捨てにする。もちろん目上に人にはほとんどしていなさそうだが。そこで君付けというのは俺にかなりの衝撃を与えた。……うん、やっぱ割とアリかもしんない。


「それで、要件は?早くしてくれないと、私帰っちゃうよ?」


 そうだった。告白しに来たんだった。

 緊張に胸の鼓動が速まる。そろそろ死ぬかもしれない。


「えっとその」


「あ、もしかして愛の告白?」


 ……うわー、え?そのタイミング?狙ったよね?わざとだよね?


「……性格悪いなぁ」


「そんなこと言わないでよー。図星なんでしょ?」


「はぁー。そうですよ、俺は真好のことが好きですよ」


 思わず投げやりに、そして勢いで言ってしまった。これはマズったか?


「ですよねー。ま、屋上に呼ばれるなんて、それくらいのことしかないよねー」

「でも、ちゃんと感情込めて言って欲しかったなー悲しいなー」


 真好は特に反応はせず、こちらにジトっとした目を向けてくる。


「はぁぁー。ホント性格悪いなー」


 思わずため息をついてしまうほどに、真好の反応は白けている。慣れだろうか。


「それが私の処世術かもね。っていうかもう慣れちゃってさー告白」


 やっぱ慣れかよ。ってかなぜわかった?


「んで、答えは?だいたい想像つくけど。慣れてんのなら」


 慣れてるってことは答えも同じ。そりゃ好きじゃない人に好きって言われても何も感じないわけだし。


「あーそれね。んーと、私も好きだよ?勇太のこと」


 デスヨネー……えっ。


「ぁ……」


 感激のあまり言葉が出ない。すると、


「友達として、ね」


と付け加えてきた。


「……え?は?え?」


 戸惑う俺の様子をみて、真好は愉快そうに笑う。


「フフッ、だから言ってるでしょ。友達として好きだよって」


 ひとしきり笑って、もういちど同じことを言ってくる。


「……性格悪いな」


 ようやく理解が追いついた。ひどすぎない?期待させておいて。


「その真剣な表所で言われると、さすがに私も悲しいなー」


 真好はそんなことを言い、


「しかたないから、特別にサービスして、〝まだ〟無理ってことにしておいてあげる」


「へ?」


「それじゃー私帰るから。じゃーねー」


 屋上に来て真好を発見したとき、つまり扉の目の前からほとんど動いていなかった俺の真横をするりと抜けて、真好は帰っていってしまった。


「……性格悪いなぁ」


 振り返って階段を眺めながら、そんな言葉をつぶやいていた。

 どうやら真好は想像していたより女神ではないらしい。

でも、少し意地悪なのもかわいいかも。


……ま、この後結構すぐに意地悪キャラは崩壊するんで、よろしく。






初めまして、上総勇と申します。

予定通り4月から新連載をスタートしました。

書いた時点ではまだ3月ですが、4/11の投稿になってるはず。


恋愛ものが大好物なので、結構いちゃいちゃする話を書きたくなり、書き始めました。


ただし残念ながら、あととりあえず10話はおあずけということで……

その代わり、10話頃までは連続投稿としますので……。


長くなるのもあれですね、この辺で終わっておきます。


以上、挨拶やら方針やらでした。

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