第一犠牲者
「なぁ、コンサートのチケット、俺持ってるからあげるよ!
…なんてな、嘘に決まってんじゃんwww」
ふと目を開ける。周りには何もない。壁だ。コンクリートだろうか。
顔を上げると天井にはスピーカーがついていた。
なぜここにいるのか。状況も分からないまま、「斎藤智也」は立ち上がった。
高校3年。大学受験を控えた彼は、毎日受験勉強に追われていた。
そのせいで机で寝ることが多く、今日も勉強中に眠りについてしまった。
そして目を覚ましたらここにいたのである。
何もわからないまま慌てていると、スピーカーから人とは思えないほど低い声が聞こえてきた。
『斎藤君…だね?』そう聞かれ反射的に言葉を返す。「なぜ俺の名前を…?」『そんなことはどうでもいいんだ、今から説明することを落ち着いて聞け。』そしてその男(?)は話し続けた。
『君の体には今爆弾が埋め込まれている。その爆弾は10分後に爆発する。もし死にたくなければ、これからする4つの質問に正直に答えろ。』
「質問…?爆弾…?なんだよそれ…ってか、なんで俺なんだよ!」
そう怒鳴りつける。すると男(?)は冷静に返した。
『死にたくないなら黙って言う事を聞け。』
その言葉に怯えて、智也は黙った。それを確認した男(?)は、質問を始めた。
『1つ目。お前は「高橋幸奈」という女と付き合っているな?』
具体的な名前を出してきたので少し戸惑ったが、死ぬことに恐れているのか正直に答えた。
「ああ、そうだ。」
『2つ目。その女はお前の幼馴染だな?』
「そ、そうだ。」なぜそこまで知っているのか。その疑問しか浮かばなかった。
『3つ目。その女には父親がいないな?』
少しずつ嫌な予感がしてきている。しかし答えざるを得ない。
「そうだ、い、いない。」依然男(?)は質問を続ける。そして最後の質問。
『最後の質問。女の家に行った時、その女の母親と2人で話をしたそうだな。
お前が父親を殺したのか?』
「っ……」言葉に詰まる。そこまで知っているはずがないのだが、ここまでの質問からそうは思えない。こいつは全て知っているのだ。しかし…
認めたくなかった智也は、こう言った。
「殺してなんかいない。」
もちろん通用するはずなどない。まずい、死ぬ。
男(?)は意外にも落ち着いた口調でこう言った。
『お前は昔から嘘をよくついていたそうだな。そんな嘘が好きなお前に、サプライズがある。』
「…は?サプライズ…?」
『私も嘘をついた。』
その時何を言っているのかわからなかった。しかし、次の瞬間、智也のいる部屋に爆音が響き、間もなく彼は死亡した。
男(?)はこう言った。
『爆発時間に嘘をついたんだよ。気の毒に。』




