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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

星告げ

作者: 泪

「星告げをする時は感情を入れてはいけないよ、星が告げる言葉に加える事無く、省く事無くそのままを告げなさい。」

今になって師匠から言われた言葉を思い出す、既に手遅れとなった今になって……


星告げとは、星読みと呼ばれる魔女により告げられるその人の運命。

この国に生まれた人は、生まれて3日以内に星告げをうける事となっている、魔女とはいっても森の中で一人静かに暮らしているわけではなく、街中で普通に暮らして恋愛もするし結婚して子供を育てているものもいる、職業の一つに過ぎない、星読みの勉強をした普通の女性だ。

私はよく当たる星読みとして忙なしく日々を仕事に忙殺されているうちに、恋人は若く可愛らしい少女に心変わりをしてしまった。


恋人に捨てられたその日も星告げの依頼があった。

本来なら、星読みの感情が揺れているそんな時に星告げをしてはならないと断らなければいけないのだが、子供の両親の私に星告げをして欲しいという強い願いと子供が生まれて3日以内というタイムリミットの関係で仕方なくすることになった。


その子供を見た時、星が告げた言の葉は

『精霊に愛されし子、なれどそれゆえに人からの愛情薄し子……精霊の怒りを恐れるのならば近しい人々にこそ愛されなければいけない子供』

私はそれをそのまま子供の両親に言えばよかった。

だが仲睦まじく愛しげに子供を見つめる若い夫婦を見ていると恋人に捨てられたばかりの私の心はざわつき苛立ってしまい

「この子は人からの愛情薄く、人々に愛されてはいけない子供」

と、星告げを歪めて伝えてしまった。


翌朝、何て事をしてしまったのかと我に返り昨日の若い夫婦をもう一度訪ねたが、旅人だったらしく既にこの街を出て行ってしまっていた。



かつてこの国は精霊に愛された国だった、精霊達の力を借り他国より豊かな生活を送っていた、それなのに15年程前から精霊達がこの国から減っていった、そして残った精霊達も力を貸してくれなくなっていき、今まで精霊達の力を頼りに生活をしていたこの国は段々機能しなくなっていった……

あの日、この国の王都の中央広場で一人の少女が処刑された。

星告げにより、人々に愛されてはいけないと告げられたにも関わらず、王太子をたぶらかしこの国を傾けたと……

精霊達が力を貸してくれなくなった、その原因が処刑された少女だと国は発表した。


しかし、少女が処刑されたその日の夜から、この国は嵐に見舞われた。

鳴り止まぬ雷、外に出て立っていられないほどの強風、強烈な雨量は川の氾濫や山崩れをいたる処で起こし村や街をのみ込んでいった……

精霊達が怒り狂っているのだ、自分達の愛し子を人間達に殺された事に……


そう、処刑された少女は私が星告げを歪めて伝えたあの赤子だった。

赤子の両親は、よく当たると評判の星読みの私の言葉を信じ子供を愛そうとはしなかった、さらに翌年妹が生まれた事により回りの愛情は全て妹にいき、その子供は奴隷より酷い扱いをうけていたと……


全ては私の言葉から始まった事でした。

しかしもう遅い、この国は跡形もなく無くなるでしょう、そこに暮らしている人間ごと……

あの時、師匠の言葉を思い出していたら……あの夫婦を追いかけて星告げを正しく伝えていたら……

全て後の祭りですが……

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