第8話「改新、躍進」
前回までのあらすじ―――――
4年が引退。
そして、開幕したスーパーコメット夏期リーグ。
開幕戦の相手は努誠大学。
今年で2年となる我妻が味方の1点を守りきり、試合は1-0で銘央大の勝利。
スタートダッシュに成功するが、まだ1試合が終わっただけ。
除外危機も、これで終わりではなかった―――――
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4月。
銘央大野球場――――――
今年も、大学では入学式が行われた。
野球部に入部した新入生は6人。
その中で一番期待出来るのが―――――
「ウィイイイッス! オレの名前は川松流斗! 高校では遊撃手をやってました!」
この川松という男。
「この1年は面白いぞ、高校時代でもムードメーカーを自称していたそうだ!」
「まあ、このノリじゃなあ……」
「1年も持たないだろ……」
監督からの紹介に対し、先輩からは冷たい声が。
そんな新入部員の紹介が終わった翌日、スーパーコメット春期リーグ第11戦が行われる。
その相手は、万年9位の會嚶大学。
試合前に反社会的組織らしき男女の集団が、俺に対して「負けてくれれば栄養費を差し上げますよ」等といった声を掛けて来たが、俺はそれらを無視してベンチへ。
今日も、銘央大の先発は俺だ。
1回裏の會嚶大の攻撃。
しかし、今日の試合には何故か違和感が。
(プレッシャーのような物を感じないな……)
それは、會嚶大の選手達の士気が無さすぎる事だった。
また、三塁側のスタンドを少し見てみると、先程声を掛けて来た男女と同じような姿の集団が観戦に来ていた。
(とりあえず、手を抜いてみるか)