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アイロンピッチ 大学野球編  作者: 仲間共成
5/12

第4話「大袈裟に言おうがお前らがエラーしても何とも思わん」

 前回までのあらすじ―――――


 6月に入り、練習をしていた我妻は監督に呼び出されて練習を一旦中断する。

 監督から伝えられた言葉。 それは、「銘央大学がスーパーコメットリーグから除外される可能性がある」という通告だった。

 この事を言い伝えられた部員達は、7月の夏期リーグ開幕まで必死に練習していた。

 そうして7月を迎え、スーパーコメット夏期リーグが開幕した。

 その開幕戦の相手は総合優勝4回の強豪、大曜大学。

 いざ試合会場に訪れるやいなや、大曜大の部員に挑発されてしまう。

 それに乗った我妻は激怒。

 部のマネージャーがなんとか止めるも、我妻の態度は悪くなる。

 そんないざこざもあったが、先発出場となった我妻は自分の大学生としての初の試合に臨む。


 ――――――――――


 今日の大曜大学は先発は、3年にしてエースの金井(かねい)

 試合前に挑発してきたのもこの金井だ。

 しかし、その実力は侮れない。

 その体格から感じ取れる威圧感、大学生にして遠投117mの強肩から放たれる最速148キロのストレート、鋭く曲がってキレも抜群の縦スライダーとカーブ。

 そんな投手相手に歯が立つ筈も無く、1回の銘央大学の攻撃は3人とも三振で終了した。

 そして1回裏、大曜大の攻撃。

 銘央大の先発投手は―――――俺だ。


 俺には強力な球が二つある。

 一つは、最速151キロのストレート。

 もう一つは、凄まじく落ちるフォーク。

 バットは空を切り、「ズバーン」とキャッチャーミットにボールが入る音が響く。

 「ストライーク! バッターアウト!」

 俺も、この回は3者連続三振で抑えてみせた。


 2回表、銘央大の攻撃。ここで異常事態が起きる。


 金井の「投球ミス」による死球(デッドボール)で、5番の黒島(くろしま)が出塁。

 そこから、金井が狂い始める。

 (さっさと一塁行け、クソが!)

 なんと、真ん中へのストレートしか投げない様になってしまったのだ。


 それでも、銘央大の打線では全く打てない。

 スイングのタイミングも、バットの高さも合っていなかった。

 結局、この回もヒットは無し。

 デッドボールで出塁した事以外は、ほとんど1回と変わらない。


 そして、2回裏の大曜大の攻撃。

 ここでまたもや異常が起きる。

 バッターは4年生の4番、青崎(あおさき)

 昨シーズンの打点王だという。


 (まずは……コイツだ!)

 捕手のサインはストレート。


 それに合わせ、俺も左側にストレートを投げる。 だが――――――


 青崎には、既に読まれていた。

 青崎の打球は高く上がり、左翼96mのフェンスの上を超えてレフトスタンドの後方に落ちる。

 ホームランだ。

 青崎は無表情でベースを一周。

 これで大曜大が先制。

 「そんなに甘くない、という事か……」

 俺は青崎がベースを一周した後にそう呟いた。


 大学野球初失点は、ソロホームランという最悪の形となった。

 早くも先制された銘央大。

 試合はまだ序盤なのだが、相手はリーグの強豪。

 どこまで抵抗できるのか――――――

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