第2話「お前らがどんなに下手だろうが俺の知った事ではないわ」
全国制覇に貢献した我妻。
しかし、プロには行かないと決意。
そんな我妻が選んだ進学先は、「銘央大学」。
スポーツ推薦に合格し、我妻は大学への進学を決めた。
高校の卒業式と大学の入学式を終え、大学生としての人生が始まったのだった―――――
――――――――――
その8日後―――――
「……ここか」
やってきたのは、野球部がいるグラウンド。
「来たか、我妻」
部の監督が迎えて来た。
「我妻が来たか…… それでは、今年の新入部員が全員揃ったので、自己紹介をしてもらう!」
入ってきた1年は、俺以外には8人いた。
「秋野祐太です、高校時代にキャッチャーをやっていました。 よろしく!」
秋野という奴の出番が終わり、俺の番が回ってきた。
「我妻鋼志郎です。 高校では、ピッチャーとして活躍していました。 このチームに、必要不可欠なエースになりたいと思っています。 よろしくお願いします」
「我妻って……まさか、あの我妻?」
「偽者じゃねえよな!?」
部の先輩が何か騒がしい。
無視すれば良いだけの話か。
とにかく、全員の自己紹介は終わった。
後は、練習するだけだ。
そのために、グラウンドへ向かった。
が、チームメイトは―――――
「このフライ……ここか?」
守備は下手くそ、
「まずはこの球……あっ!」
投手はノーコン(※)、
※……コントロールの悪いピッチャーの事。
「打てねえよこんなの!」
バットを持たせては空振りを連発。
「全く……。 本当に、練習になっているのか?」
俺は思わず、口を滑らせてしまう。
「この野郎!」
「おい、落ち着け!」
「そうだぞ! お前がやらかせば、この野球部の評判は……!」
チームメイトに胸ぐらを掴まれそうになった。
「仕方ないな。 俺が、お前らにとって理想的なプレーを見せてやる」
そう言った俺は、守備練習ではフライを簡単にキャッチし、投球練習では球威、キレ、ノビの全てがチームメイトと比べ物にならないピッチングを見せつけ、1打席のみの打撃練習では左中間にあたる位置にボールを飛ばした。
「ピッチャーの俺の割には、打撃は出来すぎだな……」
俺は打撃練習の後にそう呟く。
「凄い……。 これが、高校野球全国大会出場者の実力……」
マネージャーが驚いた。
「これほどの逸材、銘央大野球部では初めてだ。 今年から4年間、かなり面白くなりそうだ」
監督もこの反応。
銘央大学の「ポンコツ」野球部に入った我妻。
しかし、我妻の大学野球での挑戦はここで終わる訳が無い。
夏期スーパーコメットリーグまで残り4ヶ月、我妻の所属する銘央大学は勝利を幾つ挙げられるのか―――――。