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僕らの水没都市

作者: 弐月

Twitterのハッシュタグ「#水没都市」に便乗した即興小話です。


僕らは今日も薄暗い水の都市に潜る。崩れたビルや傾いた列車が行く手を阻み、時折、潮流に流される。とは言っても、このビルも潮流も、その水温さえも、偽物だ。造り物なのだ。

僕らは毎日、人口水没都市に潜っている。


バディのトーマがサインを送ってきた。そろそろ浮上する時間だ。


ダイバースーツを脱ぐロッカールームで、僕らは毎日、あの写真を見る。

真っ青な丸い惑星の写真。

ある時、僕らの船が、遠い宇宙の果てで見つけた星だ。

僕らは歓喜した。

この真っ暗な宇宙の中で、ついに孤独を分かち合う兄弟を見つけたのだ。僕らは独りじゃなかった。


でも今、あの真っ青な星に、僕らの兄弟はいない。


何年か前、僕らがようやく、彼らの惑星へ降り立った時、彼らはもう深い水底で、その刻を止めていた。

何もできずに帰ってきたあの日のことを、僕らは、さよならの日と呼ぶ。


彼らは逝ってしまったのだ。


僕らは毎日、水に沈められた偽物都市に潜る。潮流に揉まれ、魚を眺め、遠くの星に思いを馳せながら、紛い物の水没都市を僕らは泳ぐ。


いつか、あの星で、僕らの兄弟を弔うために。


僕らがいつか、一等上手に潜れるようになったら、水底に眠る兄弟に会いに行くんだ。



Twitter:@2_moon_167


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