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奇  作者: 鵜狩三善


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声争い

 本家は草深い田舎である。

 平素はあまり行き来がないが、年始には親族が皆集まって、久闊(きゅうかつ)を叙(じょ)す。

 そんな年明けの夜の事である。

 どこかで鳴いていた梟(ふくろう)の声に、酔った叔父の一人がほうほうと鳴き返した。

 すると梟は庭にやってきて、再びほうほうと鳴く。

 止(よ)せばいいのに酔っ払いがまた鳴き返す。


 ほうほう、ほうほう。


 鳴き交わされるたび庭に梟が降り立って、異様な光景になった。

 何の騒ぎかとやってきた父は、梟の群れを見るなり怒鳴った。


「声争いだ。負けたら命をとられるぞ」


 親族総出で、夜が明けるまでほうほうと叫び通した。その甲斐あってか、叔父が命を落とす事はなかった。

 けれど正月早々乱痴気(らんちき)騒ぎした一族への近隣の目は、その後しばらく冷たかった。






『三州奇談』卷之三「白山梟怪」より取材。

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