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  作者: 鵜狩三善


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鱗の湯

 奇態(きったい)な夢を見た。

 内容は覚えていない。だが目覚めてなおひどく嫌な感触を残留させる、飛び切りの悪夢だったことだけは確かだ。

 全身は脂汗に塗れ、布団はそれを吸い込んで、病熱の(とこ)のように気色悪く濡れそぼっている。

 体を起こそうとした途端、がんがんと頭が痛んだ。筋骨が万力にかけられて変形するような痛みだった。その作用か、手足の先までもが凍えそうに寒い。


「そのまま寝ているがいい」

 枕頭で誰かが言う。

 けれど痛みよりも言葉よりも、不思議と「このままではいけない」という気持ちが(まさ)った。

 服を脱ぎ散らかすと這いずるようにして風呂場へ行き、どうにか湯船に座り込む。そのまま熱い湯を溜めて、たっぷりの長風呂をした。

 やがて体が温まり、激痛が薄らいでいく。

 人心地がついてほっと息を吐いたところで、湯に奇妙なものが浮くのに気づいた。

 手ですくえばじゃらじゃらと溢れるほどに大量な、それは透明な魚鱗である。

 どこから湧き出たのかと不気味に感じ、そして同時に、もうひとつの奇怪に思い至った。


 この()に住まうは己一人(いちにん)のみである。

 最前枕元で声をかけてきたのは、一体何者であっただろうか。

 もし声の通り寝ていたのなら、さてどうなっていたのだろうか。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] お湯ではがれる鱗とは……鯉かなにかだろうか? 蛇の鱗とは性質が違うと聞いたこともあるのだが、実際にどう違うかはわかりません。 シンプルにおっかない話ですね。
[良い点] どうなってたのかなぁ……。 鱗なところが、水怪の仕業かなどと思わせていいですね! けど、もしかしたら声と鱗はぜんぜん無関係なのかもしれないけれど。
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